私は面接を受けるために、表参道に向かっていた。
面接を受ける理由は簡単、転職の面接だ。
新卒で入った会社に勤め続け、はや6年半が経った。
これまで、営業を3年、ブランドマーケティングを3年半ほど経験した。
勤めていた会社では3年ほどマーケティングをやると、商品の開発から、市場に出して、広告を作ってというサイクルを一周する。
「この先、どうしようか」
この会社に残り続けるべきか自問自答した。
理由は3つある。
1つ目は単純に今の延長線上で人生を終わりたくなかった。違う会社や業界という選択肢も含め、とにかく何か新しいことに挑戦してみたくなった。
2つ目は今後、年齢が上がるにつれて転職の難易度が上がることだ。
「ダイバーシティ推進」と言えども、小さい子供を抱える女性に対する日本企業の目はまだまだ厳しいのが現実である。自由で身軽な今のうちに、動いておきたいと思った。
3つ目は、日本式の企業体制だけでなく、外資企業での働き方も経験してみたくなったからだ。
とはいっても、新卒で入った会社を辞めるのは大きな決断である。もちろん会社や同僚、商品に対する情や感謝の気持ちもある。なかなか決心できずに、何となく転職サイトを眺める日々が続いた。
そんな中、友人の紹介で「外資系企業を専門に扱う人材会社」との面談をすることになった。
その時に担当リクルーターから放たれた一言は、今でも鮮明に覚えている。
「経験は十分なんですが……英語力がね….」
そう、英語力がネックで「求人」さえ紹介してもらえないという事が起こったのだ。平静を装ったが、内心は「ガーーーーン」状態。
「社内で必要ないから」と英語との距離を置いてきた自分を責めた。
この一件を通じて「英語」という資格でも何でもない「コミュニケーションツール」が理由で、自分が踏み込めない領域があることもよくわかった。
そして転職活動を続けながら、日々の業務に終われ鬱々としている日々にも嫌気がさしてきた。今の状態は、本来の自分ではない、と。
まず信頼していた当時の上司に相談した。
彼女は「人生一度しかないから、やりたい事をやったほうが良いよ」と背中を押してくれた。この一言には今でもとても感謝している。
そして2017年の冬、7年弱勤めた会社を辞める決断をしたのだ。
次にやりたい事の目星はある程度ついていた。
「第2話: 英語への憧れと留学への決意」へつづく
[ブランドマーケターのバンクーバー留学ストーリーの一覧]
第0話: ブランドマーケターのバンクーバー留学ストーリー
第1話: あるきっかけ
第2話: 英語への憧れと留学への決意
第3話: 留学前のラストスパート
第4話: カナダ到着、学校初日、早速の危機感
第5話: バンクーバーでの英語学習 Part 1 「Eh+」
第6話: バンクーバーでの英語学習 Part 2 「Sprott Shaw College プレゼンテーション強化コース」
第7話: バンクーバーでの英語学習 Part 3 「ランゲージエクスチェンジ」
第8話: バンクーバーでのバイト探し
第9話: Co-opプログラムとインターン
第10話: インターンからアルバイト、そして帰国
第11話: 日本帰国とバンクーバー再渡航
第12話: 就職活動、苦悩、意外なきっかけ
第13話: 見込み薄のミーティング 、そして…
第14話: 初サンフランシスコと初英語ミーティング
第15話: 英語リサーチとクライアントの説得
第16話: Trademark問題、Amazonストア、ブランド名の変更
第17話: 最後の2週間とこの先