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第14話: 入社早々、炎上プロジェクト、意思表示 | カナダのデジタルマーケター海外就職ストーリー

第14話: 入社早々、炎上プロジェクト、意思表示 | カナダのデジタルマーケター海外就職ストーリー

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私はSEO / PPC Specialistとして雇われた。

(※SEOとは Search Engine Optimizationの略で、ウェブサイトを検索エンジンに最適化することで検索からの流入を増やす仕事。PPCとは Pay-Per-Clickの略でクリック課金のデジタル広告の運用を行う。主にGoogleの検索広告の運用を指す。)

入社早々、既存・過去のプロジェクトのWebsiteのリサーチをすることになった。

私が入社した当初、Web関連のプロジェクトの体制が整っていなかった。
Webサイトも目的がはっきりせずにClient Acquisitionに最適化されておらず、見よう見まねで作った感が否めなかった。

社内のメンバーは私を入れて11名。構成は以下の通りである、
– Creative Director: 1名
– Graphic Designer: 2名
– Copy Writer: 1名
– Motion Graphic Designer / Video Producer: 2名
– Web Developer: 1名
– Social Media Manager: 1名
– Account Manager: 1名
– Sales: 1名
– SEO/PPC Specialist: 1名 (私)

このチーム構成を見てもわかるように、このエージェンシーはもともとクリエイティブにフォーカスした会社で例えば、ゲリラマーケティング、パブリックキャンペーンインストレーション、ブランディングなどがメイン。

目標にする指標もコンバージョンやトラフィックではなく、インプレッションやアウェアネスなど上流指標をKPIにすることが多かった。

そこに私のような存在が入ってくれば、抜け落ちている部分に気づくのは当然といえば当然である。

私はあるプロジェクトにアサインされた。
いわゆるSaaS (ソフトウェア、Software-as-a-service)系のサービスを展開するクライアントのWebサイトの改修プロジェクトだった。

私の業務内容は旧サイトから新しいサイトへ移管するときのSEO的な処理、新しいサイトの基本的なSEOのセットアップなどであった。

私が参加した段階ではこのプロジェクトはすでに炎上しかけていて、クライアントに振り回されている状態だった。アカウントマネージャーを筆頭に参加しているチームメンバーはフラストレーションがたまり疲弊していた。

そんな中クライアントからあるSEOに関する質問がきたので、私はそれに対する回答を出した。

この時点でクライアントはうちのエージェンシーを信用していなかったのか、私の回答にも疑問を持っていた。クライアントのちょっとSEOのことを知っている友達に意見を聞いてみたらしい。

クライアントは私の回答に対して違う見解を主張してきた。

クライアントから異なる見解を提示されることは良くあるケースである。
しかしここで大きな問題がある。私の英語力である。

この時点では技術的な話、観念的な話をするほどの英語力はなかった。
しかも話をするのはアカウントマネジャーとはいえ、ほぼ素人同然の知識レベルしかない相手である。もちろん専門用語は通じない。

しかも間が悪いことに、アカウントマネージャーは忙しく、ストレスマックスの状態。いつものように根気強く私の話を聞いている余裕はなかった。

“I don’t understand what you mean, Aki…”

フラストレーションと呆れが入り混じったトーンでこう言われた時は、自分の無力さと情けなさで申し訳ない気持ちになった。

おそらく、彼はクライアントの友人の方が正しいんじゃないか?と思っていたかもしれない、コミュニケーション力と信頼度はある程度比例する。

英語が喋れないだけで、その人の意見の信頼度は下がる。特に仕事やプロジェクトの始めたての頃は、実際にどれくらい信頼できるかを測る材料がないので、どうしてもそういう見方になってしまうものである。

隣にいたクリエイティブディレクターに”Are you confident, Aki?”と何回も聞かれた。うまく理由を説明できない私は”Yes!”と言い続ける他なかった。

実をいうと、SEOは右か左かはっきり言えない状況がある。
実際にアイデアを実践してみて、その結果を見つつ次の手を打っていくというのが理想的な進め方であると私は考えている。

あるサイトで効果があった手法を別のサイトでやったからといって100%効果があるとは限らないのである。

ましてやターゲットは初めてのカナダ、使用言語は英語。
日本とは状況が違うと考えるのが自然である。

正直、前述のやりとりの時は不安だった。
しかし、ここで引いてしまうと先がないように感じた。
「頼りにならない奴だ」そう思われて、試用期間中にクビにされるような気がした。

そのため、最適解だと思った見解を強く押した。
初めてのカナダ、英語のマーケット、日本とは手法が異なる可能性は大いにある。
しかしそれを言い出すとキリがないのである。それを言い出すと何もできない、何もできないと先がない。ある程度、無理をしてでも自分の意見を押し続ける必要がある。つまるところ英語力というよりは意思表示をしっかりするという話である。

結局、この1件は事なきを得た。

これがきっかけでチームメンバーが私のことを信頼してくれるようになったかはわからない。(※おそらく、誰もそこまで気にかけてなかったと思う)

私はこれ以降、自分の意思表示を徹底するようにした。
譲ってもいいポイントなのか、譲ってはいけないポイントなのかを常に考え、前者の時は最終的には折れてもokで、後者の場合は何がなんでも自分の意見を突き通すようにした。

紙とペンで図示して説明したり、ミーティング前に出そうな議題に対する回答と理由を用意することもした。しかし、最終的には”No”なら”No”、”Yes”なら”Yes”とはっきり言える意思表示をできることが大切であると私は思う。

はじめはチームメンバーに英語もろくに喋れない協調性のない奴、関わると面倒くさいと思われていたかもしれない。しかしそんなことを考えている余裕は私にはなかった。

(つづく)

Lesson Learned # 14

バンクーバーの零細・中小スタートアップをクライアントにすると、このちょっと知っている友人の話は頻出します。基本的には少し古い情報かGoogleで調べて出てきた内容を真に受けて知ったかぶりするケースが多いので問題にはなりません。

しかし、問題になるケースがクライアントがその知り合いのことの方が信用しているので、そっちの方針で行きたいと言い出した場合。

友人の方を人として信用できるのはわかる。ただ専門領域の話もそれとごっちゃにされると、そもそもなぜエージェンシーを雇ったかという話になります。友人の意見を優先するのであれば、そのちょっと知っている友人に任せればいいのでは?と思います。

こういう事態になるとエージェンシー側のモチベーションは一気に低下。
クライアントの言われたことだけをやる、やっつけ仕事になるケースも多く、それに応じて上がってくるDeliverable (納品物)のクオリティーも下がってくるという悪循環に陥ります。(※それが、良いか悪いかは置いておいて)

仕事を始めて最初の方は英語がネイティブほど喋れなくて不安になりますが、自分の意見を強く押す!これに尽きると思います。

[その他のストーリー]
第0話: カナダのマーケター海外就職ストーリー
第1話: カナダ渡航と立ちはだかる壁
第2話: 目標額170万円、地獄のフリーランス体験
第3話: カナダ渡航1ヶ月前、英語学習の開始と思わぬ見落とし
第4話: カナダ到着。不安だらけの1日
第5話: 学校生活初日。長い4ヶ月の始まり。
第6話: 26歳の実践日常英語学習法 [海外ドラマ活用]
第7話: 学校生活、苛立ち、次なるステップ
第8話: ホームステイからの脱出、ルームシェアと恐怖の夜
第9話: ボランティア活動への挑戦、意気込みと現実
第10話: ワークショップへの参加、資金不足、フリーランスへの道
第11話: 就職活動、図書館、不安と希望の光
第12話: 折れそうな気持ち、迷走、出した結論
第13話: 面接と “We’ll be In touch!”の先にあるもの

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