「若いうちにやっとかないといけないことは?」
転職を考えていた26歳、初めに頭をよぎったのは海外に挑戦することだった。渡航する国にこだわりはなく、海外であればどこでも良いというのが正直なところ。
なぜ海外なのか?と言われると別にこれといって崇高なビジョンや綿密な計画があったわけではない。単にまだ若いので、今自分がやっていることからできるだけ遠いことに挑戦すべきと考えていたからである。人によってはプロフェッションを変える、起業する、学校に戻るという結論になるが、私にとってはそれがたまたま海外だっただけの話。
直接的なきっかけはある。
あるECサイトを運営しているクライアントが英語版のサイトをもっていて、そこからちょこちょこと商品が売れているという話を耳にしたことかもしれない。そのクライアントによると、日本のサイトと違い英語のサイトはほとんど何も施策をしていない、放っておいても向こうが探し出して購入してくれるとのことだった。
この話を聞いて、日本のレッドオーシャンで戦わなくても、海外にはまだまだブルーオーシャンが偏在していて、特にこのクライアントのような中小企業が提供しているプロダクトが行き届いていないエリアが海外にはまだまだ存在するのでは?と思うようなった。
余談であるが、あれから4年が経ってその考えが間違っていなかったと今でも思う。海外には中小企業が埋められる穴がまだまだ存在している。その時に知らなかったのは、その日本の企業が埋めるべきだった穴を現地の会社が埋めているということ。この状況は機会損失だと思うので、今でもどうにかしたいと思っている。
とにかく、これらの理由で海外に挑戦することを決めた。海外との接点がある仕事をしている友人の生活がなんとなく周りと比べて楽そうというのも実は理由の一つである。
「カナダがいいらしいよ」
カナダに決めたのは、先輩のこの軽い一言がきっかけ。そもそもカナダがどこにあるかも理解しておらず、ヨーロッパの国の一部くらいだと思っていた。
その後、よくよく調べてみるとカナダは英語のアクセントがない、当時憧れだったアメリカに近いなど諸々の条件を満たしていたことがわかった。
そこから真剣にカナダ行きを検討し、カナダにいる知り合いに話を聞いてみることにした。初めに私が好きなお酒とタバコが高い聞かされた時はちょっと「うっ!」となったのは今でも覚えている。
どうやらカナダの大きな都市は2つ、西海岸のバンクーバーと東海岸のトロントがあるとのこと。トロントの冬は雪が積もるほど寒いという話を聞き、思わずバンクーバーに決めた。今思えば、もう少し真剣に考えてもよかったなと思う。
バンクーバー行きを決めた私は、留学エージェント数件に話をきいてみることにした。
特に気になったのは費用の部分。なにしろ私には貯金が1円もなかった。毎日飲み歩き貰った給料はそっくりそのまま飲食に消えていくという状況だったからである。
数社に話を聞いた結果、必要な費用は1年で200 – 300万円ということがわかった。正直、少し無謀すぎたかとも思った。
彼らのアドバイスは、一度時間をかけて貯金することだった。
しかし私の性格からして、そんなにのんびり構えてられない。タイミングを逃すとやる気をなくすことが目に見えていたからだ。なんとか、年明けまでの4ヶ月程度で貯金をして渡航してしまいたいというのが正直な思い。
1年ではなく半年ならどうか。半年で就職することができれば、費用を抑えることができるはず。そう思い、とある留学エージェントの協力のもと再度試算をしておよそ170万円必要であることがわかった。
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学費: $7,000 (6ヶ月)
生活費: $9,000 ($1,500 x 6ヶ月)
渡航費: $1,000
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ただ当時の私の実力では170万円を4ヶ月で貯金するのすら難しい状況。さらに生活費を考慮すると、最低でも210万円の稼ぎが必要になる。頭を悩ませた。
すでに当時勤めていた会社をやめる前提で動いていたので状況はさらに悪い。転職しようにも4ヶ月かそこらで辞める予定の者を雇う会社などいない。
ホストになることも考えた。もちろん当時の彼女に却下されあえなく断念した。
結局残った選択肢はフリーランスをして貯金するという方法。クライアントの当てがあったわけではない。ただ幸い会社員時代に培った経験があったので、フリーランスで仕事を貰うイメージはできていた。
「とりあえず、できるとこまでやってみよう」
これがカナダ渡航5ヶ月前の出来事である。
(つづく)
今回、私は170万円を貯金し海外渡航を目指しますが、
実際に渡航して生活をすると170万円だと全く足りません。
6ヶ月で仕事を見つけて生活するとしても、最低でも300万円程度は用意することをおすすめします。新しい生活を始めるにあたり色々お金はかかります。
お金がなくなったら、アルバイトをしながら海外就職を目指すという選択肢もあります。
ただ、アルバイトをする = ワーキングホリデービザを使うということになり、大切なワーキングホリデーのビザを資金難のために使うのはあまりにも勿体無いです。
こちらの現地滞在中のビザの計画の立て方で触れましたが、ワーキングホリデーのビザは本命の就職先が決まるまで温存しておく必要があります。そのため、就職前にアルバイトをするのは反対です。
私は最終的には親からお金を借りました。
そんなことにならないように、お金に余裕を持って渡航することをおすすめします。
[その他のストーリー]
– 第0話: カナダのマーケター海外就職ストーリー
– 第2話: 目標額170万円、地獄のフリーランス体験
– 第3話: カナダ渡航1ヶ月前、英語学習の開始と思わぬ見落とし
– 第4話: カナダ到着。不安だらけの1日
– 第5話: 学校生活初日。長い4ヶ月の始まり。
– 第6話: 26歳の実践日常英語学習法 [海外ドラマ活用]
– 第7話: 学校生活、苛立ち、次なるステップ
– 第8話: ホームステイからの脱出、ルームシェアと恐怖の夜
– 第9話: ボランティア活動への挑戦、意気込みと現実
– 第10話: ワークショップへの参加、資金不足、フリーランスへの道
– 第11話: 就職活動、図書館、不安と希望の光
– 第12話: 折れそうな気持ち、迷走、出した結論
– 第13話: 面接と “We’ll be In touch!”の先にあるもの
– 第14話: 入社早々、炎上プロジェクト、意思表示
– 第15話: 英語ブログ開始、そのわけ
– 第16話: バンクーバー、納期、It should be fine.
– 第17話: 辞めていく同僚、身の丈にあった給料