本記事はバンクーバーにてお世話になっているFrog Creator ProductionのFrog Advent Calendar 2017の11日目の記事です。

2015年中小企業の海外進出に対する意識調査によると調査対象の中小企業の84%が今後の海外進出予定は未定もしくは進出予定なしと回答し、調査対象の16%程度しか海外進出に関心を示していないことがわかります。

おそらく海外進出を検討する前に国内事業で成功しなければいけないという前提があるのではないかと考えます。ただ、北米を相手にマーケティングをしてきて感じるのは、日本でうまくいっていない中小企業でも海外進出の勝機があるということ。

北米に渡ってからおよそ3年が経過し、現地のマーケティングエージェンシーにて2年半ほど北米のオーディエンスを相手にマーケティングする経験を積みました。

その傍ら本サイトTouch-Base(タッチベース)を通して海外とくに北米で活躍する日本人マーケターへインタビューを行い、日系企業が海外進出を成功させるための方法やよくある失敗などの話を伺ってきました。それらの経験をもとに、日本の中小企業が海外進出・特に北米進出の話をしたいと思います。

中小企業こそ海外進出するべき3つの理由

中小企業が埋められるニーズの穴がまだまだ存在する

他の諸外国と同じで、北米での日本の商品やサービスへのニーズは高く、それらは寿司、ラーメンやアニメ、漫画、車だけではなく次のレベルに来ています。

例えばベビーカーであればCombiの___という特定のモデルが欲しい、日本の食洗機・電子レンジ対応の弁当箱が欲しいなどニーズの細分化が起こっており、日本側はそのニーズを埋めるサービスを提供できていないというのが現状です。そして、その穴を埋められるのは中小企業だと考えます。理由は大企業が投資するには市場がニッチすぎるためです。

例えば、僕は友人と一緒にJapanese Sake Loversというオンラインの日本酒グループを運営しています。北米で日本酒人気が高まる一方で、これまで英語での日本酒のオンラインコミュニティが存在していませんでした。

北米での日本酒の流れとして、今までのような安酒を飲むという流れからプレミア日本酒を飲みたいという方向にスイッチしてきており、獺祭のようにスッキリしたものが好きという人もいれば、少し癖の強いものが好きという人もおり、細分化が進んでいます。

流通網が発達していないため北米の日本酒消費者は自分の求めるものにリーチできていないのが現状です。

日本酒の話でいうと、先日ニューヨークのブルックリンにBrooklyn Kuraという初の日本酒の蔵ができました。数多くの日本酒専門バーが存在するほど日本酒人気が強いニューヨークでこれまで酒蔵が存在しなかったのは驚きです。

この酒蔵を運営されているのはアメリカ人の方で、僕も話を伺いにいきました。彼は日本旅行の際に日本酒の蔵を訪れ日本酒に一目惚れし、当時の仕事をやめ自身の蔵を開いたそうです。

日本の商品やサービスのアイデアを北米に持ち帰った例は他にもあり、旅行で日本に訪れたニューヨーカーが日本の山梨の名物、水信玄餅を自国に持ち帰ってRaindrop Cakeという名前で売り出し大人気になった事例もあります。

BtoCの業態に限った話でいえば、海外から日本に訪れた人が日本の良い物を見つけ、それを自国に持ち帰って成功しており、日本の企業が埋めれたはずのニーズを現地の人に先をこされているように感じます。

結局それを行うのが日本人なのか他の国の人なのかの違いですが、日本の企業が商機を逃しており、損しているように感じます。

露出量より商品クオリティが評価される流れ

FacebookやYoutubeを初めとしたソーシャルメディアの台頭で、商品やサービスのクオリティの高さが日の目を見る時代になりました。そこからクオリティの高いものを低価格で提供するという流れが北米全体で起きています。

そのため、今北米で成功しているスタートアップのCasper、Warby Parker、Dollar Shave Club(Unileverが買収)などは、どれも良い物を低価格で提供しており、既存プレイヤーが広告に依存している市場をひっくり返しました。

例えばCasperのマットレスのレビューの数は相当なもので、下記のYoutubeのビデオのリストを見てもらえれば、いかに商品のクオリティがマーケティングに繋がっているかが分かるかと思います。


画像: Youtubeで”casper bed review”の検索結果

ポイントとしては大企業ほどの資本力がない中小企業でもチャンスはあるという点です。

もちろん、良いものであれば放っておいても売れるわけではないのでマーケティングをする必要はありますが「低価格でクオリティの高いサービス」が長期成長のキーワードであるように感じます。

先日、ニューヨークオープンを成功させたいきなりステーキでも立ち食い、紙エプロンなどニューヨーカーに馴染みのないものを残して話題性があったのもありますが、商品クオリティありきだと考えます。

中小企業の意思決定のスピード感が海外進出成功の鍵

今まで海外で活躍するマーケターの方にインタビューして最も頻繁にあがった失敗要因がスピード感の無さでした。

今日取材したいという要望に応えるスピード感を持つ – PRスペシャリストに聞くニューヨークでのPR成功のための4つの秘訣とは
間違いその5 – 準備期間を長くとりすぎる – ニューヨークのマーケターに聞く日系企業が現地でやってしまう5つの間違いとは

実際に意思決定のスピードが遅いと、現場で起こっていることに素早く反応できずに機会損失・現場のモチベーションの低下に繋がるだけではなく、パートナー企業のキャッシュフロー・プロダクションスケジュールに悪影響を及ぼすためパートナー会社に見放されることもあります。

海外進出をするということは全く新しい顧客を相手にすることになり、トライアンドエラーを繰り返して市場や顧客を理解していく必要があります。それをいちいち日本の本社に確認を取らないといけないとなるとうまくいきません。資本力はあるがスピード感のない大企業より、限られた資本力をスピード感をもって動ける中小企業にこそチャンスがあると考えます。

まとめ

今回は中小企業が海外進出すべき3つの理由をまとめました。

実は僕が北米に来た理由は中小企業の素晴らしい商品・サービスを海外に広げるお手伝いをしたかったためです。そう思ったきっかけは日本で働いていた時に知り合ったクライアントでした。

そのクライアントは英語用の通販サイトを運営しており、特にプロモーション・メンテナンスをしていない状況にも関わらず定期的に売上が出ているという話をしていました。

日本ではプロモーションしないと売上に繋がらない程、供給過多の状態にある一方で、海外に目を向けると、ユーザはそのサービスをなんとかして探し当てたい状態、つまり供給が足りていない状態であることに気付かされました。

今後、中小企業が海外に販路を広げていく事でコストを安く抑える事ができ、なおかつそのサービスを欲している海外ユーザを幸せにできるのではないかと思います。本記事が少しでも中小企業の海外進出に繋がれば幸いです!

※以下に中小企業の海外進出に関する資料をまとめました。参考にしてください。

参考資料:
中小企業の海外展開の現状と今後の課題 ― TPPを通じた「新輸出大国」の実現に向けて 平成27年度 中小企業海外事業活動実態調査報告書
JETRO 中小企業海外展開現地支援 サンフランシスコ・プラットフォーム
海外展開成功のためのリスク事例集
中堅・中小企業の海外展開における国際連携動向調査
海外展開―成功と失敗の要因を探る―
第3節 中小企業の海外展開と生産性
中小企業の海外展開入門|J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]