私は2015年に海外の現地企業で働きたいという思いで渡航しました。
そして運良く、ほぼ英語力ゼロの状態から渡航後わずか4ヶ月で海外現地のマーケティング会社への就職を実現し、最終的には就労ビザのサポートも受けることができました。
実際に現地で就職し、就労ビザを獲得した私の経験から、多少英語はつたなくても、努力次第でマーケター職につけると確信しました。
今回は、私がどのように海外就職を達成したか、また今後海外就職を考えている人はどういう点に気をつけるべきかをまとめました。本記事をみて一人でも多くの人の海外就職に挑戦するきっかけになれば幸いです。
余談ですが、私が北米行きを決意した際、いきなり英語を使ってマーケティングの仕事につけるはずがないと周りに言われ続け、実際にやってみて厳しい局面は多々ありました。
ただ、粘り強く頑張って、なんとか乗り越えることができました。周りの言葉に振り回されず自分が信じたことを思いっきり挑戦した方が良いと思います!
目次
海外就職先の国選び
さて、海外とひとくちに言っても、渡航先は星の数ほどあります。
大別すると下記の5つに分かれます。
– 北米 (アメリカ、カナダ)
– 中南米 (メキシコ、グアテマラ、キューバ、ペルーなど)
– ヨーロッパ (フランス、イギリス、スペイン、ドイツ、イタリア、マルタなど)
– オセアニア (オーストラリア、ニュージーランド、フィジーなど)
– アジア (フィリピン、タイ、シンガポール、マレーシア、香港、韓国、インドなど)
他の記事をみてみると、海外 = アジアと感じるほど、アジアの人気です。特にフィリピンやタイ、シンガポールなど途上国と先進国の間くらいの国の人気が高いと感じます。
アジア市場は引き続き経済発展が見込めるポテンシャルの高い市場で、日本のビジネスが入り込むチャンスがある魅力的な市場です。
しかし私はこの中から、北米の中のカナダを選択しました。
以下では参考までにその理由は紹介します。
流行りは北米から来ている
カナダを選んだ1つ目の理由は北米であることです。
世の中の流行りは北米から来ることが多く、マーケティングの領域に目を向けた時に、新たな手法やテクノロジーは北米から流れてくることがほとんどです。UberやAirbnbのような革新的なサービスも、北米で流行ってから全世界に普及しています。各国に進出する際にローカライズの必要性はあるものの、北米で成功すれば諸外国での展開の際に非常に有利になります。
また、一口に英語圏と言っても、国によって英語のアクセントや商習慣が全く違います。そのため可能な限り北米、もしくは北米に近い国の渡航がベストだと考えました。
カナダはビザがおりやすい
2つ目の理由はビザの問題です。
北米と言われて真っ先に思いつくのはアメリカ。
ただ、ビザの問題を考えるとアメリカはハードルが高く、運にも左右されるところが多いです。
後ほど詳しく説明しますが、ビザの問題は海外で就職する上で一番重要といっても過言ではありません。
アメリカにて就労ビザの申請をする際、応募者があまりにも多いため、初めにランダムの抽選である程度の数が振り落とされます。この抽選の方法はパソコンがランダムに選び出すので、スキルレベルなど関係ありません。
アメリカの移民局USCISによると2017年の応募者は20万人を超え、そのうちの6万5千のみが抽選で選ばれたとあり、およそ3人のうちの2人が抽選で落とされた計算になります。これは少しリスクが高すぎるので別の選択肢を検討しました。そこで考えたのがカナダ。
アメリカとカナダは地理的に面しており、英語のアクセントや商習慣が非常に似ています。
カナダはオープンワークパーミット(ワーキングホリデービザ)というビザを発給しており、30歳以下であれば無条件に1年間の就労を許可しています。また、就労ビザの面でもアメリカほど競争が激しくなく、無差別に抽選で落とされるということはありません。(2017年8月時点)
以上の理由から、北米への第一歩としてカナダという選択をしました。
私が成功した海外での就職活動の方法
ここからは海外で就職先を見つける方法について触れていきます。
まずは行動量を増やして面接に繋げる
就職活動の方法はいくつか試しましたが、最終的にIndeedを使って申し込みしたところが引っかかり、そこから仕事を見つけることができました。
効果的な履歴書の作り方・送り方については議論がありますが
とにかく現地のマーケティングの会社だったら特に選り好みしなかったので、ひたすら履歴書を送り続けました。
1日に送る件数を毎日守って、それを地道に毎日行い1ヶ月近く経つころには4件の面接を獲得しました。
英語に不安がある方は英語のネイティブスピーカーにチェックをしてもらうことをおすすめします。もしネイティブの知り合いがいなければ、最寄りのYWCAもしくはEmployment Service Centerにて無料で添削してもらえるので利用することをおすすめします。
採用側からすると、大量の応募者の数を減らすために、落とす理由を探しています。文法のミスや単語の使い方が不自然というのは、それだけで落とす理由になります。せっかくのチャンスをそういうところで逃してしまうのはもったいないので、履歴書・カバーレター(送り状)を送る前に必ずネイティブの方のチェックを入れましょう。
会話がダメなら提案書を作って面接を攻略
次は面接です。私は日本にいたときから面接がとても苦手で、しかもそれを英語でやることにすごく悩みました。
悩んだ末、面接のチャンスをくれた全ての企業に提案書を作って持っていきました。前職で培ったデジタルマーケティングの知見を使って、面接先のWebサイトの改善案をまとめました。その表紙はこちら
20ページ以上の提案書で、Webサイト内の改善点をできる限り具体的にまとめました。
大切なのは求められているポジションの仕事をこなせるだけのスキルがある点、熱量がある点の2つを伝えること。そこはしっかり達成できたかと思います。
結果、4件の面接(2件電話/2件対面面接)に対して対面の2件から内定をもらうことができました。つまり提案書を作っていったところは100%採用されたということになります。
「英語のネイティブスピーカーを雇った方が良いのは明らかだったけど、私の姿勢を見て多少のリスクを取ってでも私を採用する価値があると感じた」と言ってもらい好評でした。
周りが成功した効果的な就活の方法
上記は私が成功した方法ですが、周りの話を聞いていると他のやり方で成功している話をよく聞くので以下ではそのご紹介。
LinkedInやその他のポートフォリオサイト経由
LinkedInとはビジネスに特化したSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)です。Facebookのビジネス版と考えていただければと良いと思います。
海外での就職活動ではLinkedInのアカウントをもっていることが基本となります。
これまでの経歴や基礎情報を入れるのはもちろん、関連するグループの参加、アクティブに情報発信をしてフォロワーとコネクションを増やしましょう。
さて私は就職が決まってからLinkedInをうまく活用するようになったため、当時はそこまで効果を感じませんでしたが、今では毎月10件程度の求人案件の紹介が届きます。
LinkedInの他にも例えばデザイナーの場合はBehance、Dribbbleなど、Web/SoftwareデベロッパーであればGitHubなどポートフォリオサイトをうまく活用してください。
知り合いのツテ
現地での知り合いを増やす手段として、ワークショップやMeetupのイベントに参加することです。日頃から人付き合いがあると、「___という会社が___を探していた」という情報を人づてで入手することができます。
他にも、先ほどご紹介したLinkedInやSNSを通して、希望する職種で現役で働いている人に話を聞くのも有効です。「私は____というポジションで仕事を探しているが、どうすれば仕事を見つけることができるか」と素直に相談してみましょう。直接就職に繋がらなくても、建設的なフィードバックをもらえます。
海外転職の求人サイト・エージェントは役に立たない?
「海外就職 求人」などで検索すると下記のような海外の転職サイトが数多くヒットします。
– JAC Recruitment: https://www.jac-recruitment.jp/lp/f03/
– Recruit Agent: https://www.r-agent.com/info/lp/global/001/
– En Japan: https://mid-tenshoku.com/html/pr/ad/pc/basic/008/
– Career Cross: https://www.careercross.com/
– Working Abroad: https://workingabroad.daijob.com/
名前は伏せますが、私はこの中の一社を使いましたが、結局就職に結びつきませんでした。
また、北米に似たような転職エージェントがいるか探して見ましたが、数はほとんどなく、あっても案件数が少ないので利用しませんでした。
それよりも、現地で直接企業に履歴書を送る、ワークショップに参加して人脈を作るなど自分で直接動いた方が成果につながりました。
海外就職しやすい職種
これは感覚ベースの話になってしまいますが以下で海外就職に成功している感じる職種をご紹介します。
本サイトとFacebookのグループページ (Touch-Base | 海外進出と海外就職)を通して、海外就職を検討している方からの相談や実際に就職している人の話をベースにしています。
現地の日本食レストランや日本人を対象にしたサービスを除くと専門性が高く、なおかつエクセキューション要素が強い職種が採用されやすいと考えます。
下記は職種の例となります。
– 営業
– デザイナー
– ITエンジニア
– 映像制作
– 美容師
– 保育士
– バリスタ
マーケターの例でいうと、上流工程の仕事(コンセプト、ブランド戦略)のニーズよりも、実際の運用レベルの仕事をガツガツこなす人の方が、就職に繋がりやすいです。
海外就職に失敗する人の特徴
北米就職した経験者が語る海外就職に失敗する3つの理由でご紹介した通り、失敗する方の特徴は大きく分けて3つあると考えています。
1. 日本で培ったプライドを捨てきれない
2. 行動量が足りていない
3. 周りの言う事を鵜呑みにする
もっとも悪循環に陥っているパターンは、慣れない英語環境で挫折を味わい、いきなり海外で就職なんて難しいという周りの声に引きづられ、最終的に行動量が減ってしまい就職できないまま帰国というパターンです。
これ以外にも海外就職を語る上ではずせないのがビザの問題です。
以下ではビザの計画について詳しく説明していきます。
海外就職を見据えた現地滞在中のビザの計画の立て方
海外で就職する際、慎重にビザの計画を行う必要があります。
ビザはライフラインみたいなもので、それがなくなると即帰国です。たとえ念願の就職がきまっていたとしてもビザの有効期限がきれれば、ジョブオファーもキャンセルされ即帰国させられるくらいシビアです。
下記は私がカナダに滞在したときのビザのスケジュールです。
(※国によってビザの期間・要件は異なるため、ここではあくまで一例としてカナダのビザの話をご紹介します。)
まず、カナダではワーキングホリデービザというものが存在し、18歳から30歳であればほぼ無条件で1年間就労許可を出してもらえます(2018年10月現在)。イメージとしては、このビザをうまく利用して、就労ビザ(Work Permit)や永住権(Permanent Residency)に繋げて長期滞在を目指します。
長期滞在しなくても1年働ければ十分と考える方がいるかもしれませんが、全く十分ではありません。
私も最初、現地のマーケティングの会社で1年経験を積めれば十分だと考えていました。
ただ実際に働いてみると1年では全く満足できず、最終的には3年ほど残りました。
就職が決まった時の英語力の低さもその原因の一つですが、環境に慣れて、結果を出し始めるまでおよそ1年かかり、それを人に言えるくらいのレベルのものにするのに2年から3年程度かかりました。
海外の現地企業で就職したから価値があるのではなくて、海外で就職して成果を出すから価値が出てきます。そのため初めから2年か3年程度、現地で働くことを想定してスケジュールを組むことをお勧めします。
さて以下では、ビザの計画を組む上で特に重要なポイントをご紹介します。
就学中に就職先を決めてしまう
学校が終わってからのんびり就職活動を行うのでは遅すぎます。
むしろ、学校が終わる前に就職先を決めてしまうくらいのスピード間で動きましょう。
その狙いは就職先が決まるまでワーキングホリデービザを温存するためです。
ワーキングホリデービザの初めの半年は実際に働いて実力を認めてもらうための試用期間として費やすべきです。
その間に実力を認められて、次の就労ビザのサポートに繋げるイメージです。
私は就職前に4ヶ月間学校に通いました。
就職活動には少なくとも2ヶ月はかかると見て学校開始から2ヶ月後から動き出しました。
英語力の不安はありましたが、それがタイムリミットだと考えて無心で行動しました。
ワーキングホリデービザの半分は次のビザに繋げる手続き期間
カナダの場合、就労ビザの手続きにおよそ6ヶ月かかるので、ワーキングホリデービザの残りの半年は就労ビザの申請の手続き期間に費やします。
私の経験では、採用面接の段階で就労ビザサポートを確約してくれる会社はなく、最低でも数ヶ月間一緒に働いてみて、優秀かつチームとの相性が良いと判断され初めて就労ビザのサポートの話ができるものだと考えています。
就労ビザとはそれだけ企業側の負担が大きく、現地企業は敬遠します。
仕事に慣れてこれから成果を出すという時にビザが切れて帰国ということがないように事前に計画を立てて動きましょう。
海外就職にまつわるQ&A
この記事の最後に、海外就職にまつわる質問に関してQ&A方式でお応えしていきます。
1. 新卒で海外就職に挑戦すべきか?それとも中途でやるべきか?
まず、新卒で海外就職すべきかという点について、もしやりたいことが明確にない場合は、日本で新卒制度を利用して実務経験を積むことをおすすめします。
海外には日本のように学校を卒業したばかりの新卒を育てる、いわゆるポテンシャル採用の文化がありません。そのためスタートの部分が大変です。
カナダでは現地のトップの大学を卒業しても、すぐにフルタイムでの就職先を見つけることが難しく、ある程度の実務経験が必要になります。そのため、インターンシップやフリーランスをしながら経験を積む努力をしています。
一方で日本の場合、ポテンシャル採用があるため、すぐに実務経験を積むことができます。私がカナダにいた際、周りの同年代と比べて仕事に対する姿勢やクオリティは高かったと感じました。そのため、英語が多少不十分でもカバーできました。
逆に、中途で海外就職する場合は、私のように日本で培ったスキルがあるのでその分、就職に有利です。英語が苦手だからといって物怖じせず、自信をもっていきましょう。
2. 大学にいくべきか?語学学校だけいくべきか?
これは国によりますが、私が滞在していたカナダでは現地の大学卒業をしても、直接現地での就職に結びつきませんでした。
その証拠に、バンクーバーで一番良いとされるUBC (University of British Columbia)を卒業しても就職先が見つからないという人に数多く出会いました。
最終的にものをいうのは、経験や仕事をこなす能力です。
もし、現地就職を目的に大学にいくのであればお金の無駄です。
それよりも、就職するために足りないものを補うために必要なものだけをやりましょう。
例えば、私の場合は日本で仕事の経験があったので、あとは英語力でした。
それを補うために、語学学校 + 短期大学に合計4ヶ月だけ通って、そこからは就職活動に専念しました。
(※周りの話を聞くと4ヶ月という期間は少し短すぎるようなので、余裕を見て1年で計画を立てることをおすすめします。)
3. 日本で内定をもらってから渡航すべきか?それとも現地ですべきか?
以前インタビューさせていただいた松田さんのような例外をのぞいて、日本で就職先を確保してから渡航というルートはほぼ不可能です。
そもそも、履歴書に目すら通してもらえないと考えた方が良いです。
就職してからおよそ半年程度経った頃、逆に私が採用する側に回ったことがありました。
その際、カナダのローカル企業にも関わらず、インド、ロシア、南米、ヨーロッパなど海外から履歴書がきました。しかし、結局一つも履歴書に目を通すことはなく面接すらしませんでした。
理由は、採用に至っても実際に来るかわからない、手続きに時間がかかるなどがあります。
特に人気の職種は、ローカル企業にも関わらず40-50件程度の履歴書が送られてくるので、まずはどうやって数を絞るかを考えます。所在地が海外だとそこでまず落とされてしまいます。
また、同じカナダであっても、私の滞在していた西海岸のバンクーバーから飛行機で3時間程度離れたトロントからの応募も同様の理由で却下しました。やはり現地にいるということが大前提になります。
さいごに: これから海外就職を考える人へ
私はカナダで3年ほど現地で働き、今は日本に戻ってきて別の仕事をしています。
1つ後悔があるとすれば、初めからアメリカにいかなかったことです。
もともと、アメリカに行くためのファーストステップとしてカナダに行きました。
ただカナダに滞在して2年ほど経過した時に改めて調べてみると、アメリカにいくためにはビザの問題で再度学校に通い直す、もしくは低賃金でインターンとして働くところからスタートする必要があることがわかり断念しました。
この経験から、最終目的地がアメリカであれば、変に遠回りせずに初めからアメリカにいくべきだと思います。
必死で行動していれば道は拓けます。頑張ってください!