ルームシェアに移り住み、毎晩恐怖に怯えて暮らしている中、あるボランティアに参加していた。

ボランティア先の団体はバンクーバーでラテン文化を広める活動をしており、私には全くゆかりがない分野だった。

ちょうど、SEOができる人間を探しているという話を耳にして参加することになった。

とにかく英語で実践を積みたかった私には、願ってもないチャンスだ。
ここで実績を出し就職活動に繋げる!そういきり立っていた。

簡単なオリエンテーションが終わり、早速実務の話になる。

どうやら夏に行われるイベントに向けてサイトを制作中のようで、そのサイトを基点にデジタルのプロモーションをかけたいということだった。

イベントは毎年夏に1回、数日間のみ行われる。

私は、短期的なイベントページのプロモーションはSEOに向かないという話をした。
その理由は時間がかかる上に得られるメリットが短期的すぎるためである。
しかも、イベントページは毎年新しく作り変えているので余計に不向きである。

それよりも組織の大元のサイトにSEOを行う、もしくはイベントガイドのような媒体とのタイアップ、または広告出稿をしてイベントページに集客することを提案した。

「次のミーティングで組織のマネジメントに掛け合ってみる。」

私の提案は一度、保留になった。

その次の週にソーシャルメディアチームのミーティングがあるから参加してみないかと誘われたので参加することにした。

ミーティングには合計8名ほどのボランティアが参加していた。
イベント当日までのソーシャルメディアでの投稿を分担して行おうというのが主な内容だった。

ソーシャルメディアの主任のような人が各ボランティアに担当の曜日、投稿するポストのカテゴリを割り振り、ミーティングは終わった。

投稿するカテゴリとは例えば「ラテン x グルメ」とか「ラテン x ファッション」とかその程度のレベルである。あとは本人が自由に好きなものを投稿するというものだった。

指示の内容が曖昧すぎて、皆が困るのではないかと私は言った。

私の英語力不足もあり、何を言っているのかイマイチピンときていないようだった。

そのミーティングから1週間後、案の定ほぼ全員が決められた日時に投稿せず全く機能してしないことがわかった。

周りのあまりの無責任さに指示を出した主任もサジを投げてしまった。彼も無責任なボランティアの1人だったのである。

正直、ボランティアのいい加減さに呆れた。
何も言わずにバックれた方もそうだが、それを見て簡単にサジを投げてしまった方も大したいい加減さである。

ボランティアで成り立っている組織の限界を感じた。

この組織でいくら時間を投資しても、当初の目的である「英語で実績を作る」ことに繋がらないだろうと感じた。この調子で周りが無責任のオンパレードだと先に進むものも進まない。イライラが蓄積されるだけである。

時間もお金も無駄にできなかった私はなるべく深く関わらないようにしようと思った。

ちょうどその頃、私の提案がマネジメントに却下されたことが耳に入った。
このタイミングでフェードアウトしようかと思った。

「今回のイベントでデジタルの可能性を証明したい。」

その時、直属のマネージャーがオリエンテーションで放った言葉が頭をよぎった。

このまま黙ってフェードアウトすれば、それでは私も無責任の仲間入りだ。
しかし、ここに時間を注力していくことはできない。

「サイトの訪問者の分析くらいであればいつでもやります。」

そもそも提案を却下された時点で私ができることはかなり限られてくる。
これが唯一私が提示できる提案だった。

結果的にはこの組織とは疎遠になった。

この後やりとりをしたのは就職が決まった後の1度だけ。
キャンペーンの振り返りをするためのデータ分析をしてほしいと言われたのである。

バンクーバーにはボランティアを探している組織は山ほどある。
しかし、私が参加したボランティアはここが最初で最後。理由はどこのボランティアも似たような状況にあると思ったからである。

就職をするために取るべき手段は他にもたくさんある。私は他のアプローチを取ることにした。

(つづく)

Lesson Learned #9 (海外就職とボランティア活動)

よくバンクーバーではボランティア経験が就職活動のプラスに働くと言われています。

その解釈の仕方は様々で、例えば慈善活動に参加することで人として評価が上がるという見方や、単に実務経験になるのでプラスになるという見方などがあります。

私はボランティア経験のメリットは基本的には後者だと考えていて、
いくらボランティアに参加しても、人に言える成果がなければその経験はレジュメの枠を埋めるだけで効果がないと考えています。

しかし成果が出せるか出せないかは周りの環境に左右される部分が多く、そこの見極めが重要です。

今回ご紹介した組織のような、何も進まない状況に振り回されるのであれば無理して続ける必要はないと私は思います。

現地に渡航してから就職するまでに使える期間も予算も限られており、多少不義理ではと感じることがあっても、しっかり取捨選択をして行動していくことをおすすめします。

(※記事のサムネイル画像とボランティア団体は無関係です。)

[その他のストーリー]
第0話: カナダのマーケター海外就職ストーリー
第1話: カナダ渡航と立ちはだかる壁
第2話: 目標額170万円、地獄のフリーランス体験
第3話: カナダ渡航1ヶ月前、英語学習の開始と思わぬ見落とし
第4話: カナダ到着。不安だらけの1日
第5話: 学校生活初日。長い4ヶ月の始まり。
第6話: 26歳の実践日常英語学習法 [海外ドラマ活用]
第7話: 学校生活、苛立ち、次なるステップ
第8話: ホームステイからの脱出、ルームシェアと恐怖の夜
第10話: ワークショップへの参加、資金不足、フリーランスへの道
第11話: 就職活動、図書館、不安と希望の光
第12話: 折れそうな気持ち、迷走、出した結論
第13話: 面接と “We’ll be In touch!”の先にあるもの