仕事が決まって5日後、私はクライアントとの顔合わせのためにサンフランシスコにいた。
サンフランシスコではクライアント、マーケティングリサーチの会社、そして私の勤め先のマーケティングエージェンシーを交えてのキックオフミーティングを行った。
入社したばかりの私はプロジェクトの内容、マーケティングリサーチ結果のキャッチアップを行いつつ、なんとかミーティングに着いて行くのに必死だった。
断っておくが、ちゃんとした英語での会議はこれが初めて。わからない単語も多く、何より話すスピードが速い。
そして仕事なので当然なのだが、私の英語力など気にせず「ネイティブ同士」として会話を進める。
全部について行くことは諦め、なんとか重要なポイントは押さえるようにした。
わからなければ、都度確認すべきというが、複数人参加するミーティングで1つ1つ止めることは現実的に難しい。ミーティング後、同僚にダブルチェック、トリプルチェックを行い抜け漏れがないようにした。
ミーティングが無事終わり、クライアントを含め飲みながら卓球ができる卓球バーのような場所にいった。
スポーツをしながらカジュアルな環境で、これまでの話をした。
いわゆる「お酒の席」という日本の文化と違い、北米流の爽やかなチームビルディングである。
翌日、朝少しだけチーム内でミーティングを行い、サンフランシスコのストアチェックという名目で、繁華街や家電ストアを散策することになった。
同じ北米の西海岸といえど、バンクーバーとサンフランシスコでは全く違う。
まずは人種の多様性。
バンクーバーはアジア人が多い街として知られているが、一方サンフランシスコは色々な国の人種が混ざり合っている印象を受けた。
そして、街の規模の大きさ。
商業施設などの建物のサイズがバンクーバーとは比べ物にならないくらい大きく、街のエネルギーが東京に近いと感じた。
特に気になったのは、B8ta。
様々なブランドの新しい商品が置いてあるセレクトショップだ。
商品を実際に手にとって体験することができ、商品の説明をしてくれるスタッフも常駐している。商品を購入したい場合はオンラインで購入できるという仕組みだ。
D2C (Direct to Consumer)のスタートアップ、ベビーベッドのSnoo, 生理用下着のThinx, 歯ブラシのQuipの商品や、日本からは調理器具のVermicularの商品が展示されていた。
ストアチェックという名目だが、実態はほぼ観光だった。
私が日本で働いていた頃、国内だが出張することが度々あった。
会社が出張費を出すのだから、それなりの成果を出して来いとよく言われていた。
例えば、会議が11時にあったら、その前後の時間を工場とのミーティングや将来のアイディアに繋がることに使えと口酸っぱくいわれていたのだ。効率性を考えると正論である。
それが普通だと思っていた私にとっては、今回の出張は良い意味で衝撃的だった。
サンフランシスコでのあっという間の2日間は終わり、バンクーバーに戻った。
これからこの会社で本格的に働くことになる。
今回は14話という事で、仕事が決まって、その5日後に行ったサンフランシスコ出張の話をさせていただきました。
この出張は疲れましたね。笑 職場の人と5日でそんなに打ち解けられたわけではないし、クライアントもマーケティングリサーチの人も当然初対面。
会話はガチのネイティブスピード。ざっくり掴むくらいがやっと。ミーティング5時間くらい全部録音して、バンクーバーに帰ってきてから、ちょこちょこ聞き直したりしてキャッチアップをしていました。
サンフランシスコの街はどうかというと、同じ西海岸のバンクーバーと比較して人種が多様で、ダウンタウンも大きくて、より刺激的。話題になっているDtoC企業のリアル店舗を訪問したり、観光目的で行くのとは一味違う体験ができました。
「第15話: 英語リサーチとクライアントの説得」へつづく
[ブランドマーケターのバンクーバー留学ストーリーの一覧]
第0話: ブランドマーケターのバンクーバー留学ストーリー
第1話: あるきっかけ
第2話: 英語への憧れと留学への決意
第3話: 留学前のラストスパート
第4話: カナダ到着、学校初日、早速の危機感
第5話: バンクーバーでの英語学習 Part 1 「Eh+」
第6話: バンクーバーでの英語学習 Part 2 「Sprott Shaw College プレゼンテーション強化コース」
第7話: バンクーバーでの英語学習 Part 3 「ランゲージエクスチェンジ」
第8話: バンクーバーでのバイト探し
第9話: Co-opプログラムとインターン
第10話: インターンからアルバイト、そして帰国
第11話: 日本帰国とバンクーバー再渡航
第12話: 就職活動、苦悩、意外なきっかけ
第13話: 見込み薄のミーティング 、そして…
第14話: 初サンフランシスコと初英語ミーティング
第15話: 英語リサーチとクライアントの説得
第16話: Trademark問題、Amazonストア、ブランド名の変更
第17話: 最後の2週間とこの先