インタビュー , 海外進出

今ボストンが熱い!日系スタートアップがボストンに進出すべき3つの魅力

Lia

今ボストンが熱い!日系スタートアップがボストンに進出すべき3つの魅力

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今回は世界最大級のイノベーションセンターCICのジャパンデスクを担当するLia Camargoさんにインタビューを行い、なぜ日本のスタートアップがボストンに進出すべきかについてお話を伺いました。

Profile:
カマーゴ李亜 (Lia Camargo)
現在ボストンのCIC(ケンブリッジ・イノベーションセンター)で、日系企業のサポートを行うジャパンデスクを担当。Wellesley Collegeを卒業後、ボストン界隈で活躍する日本人を応援するためネットワーキングイベントを主催し、コミュニティ作りに尽力中。今後は女性起業家支援、女性リーダー育成を主に活動を続ける予定。

渡部:
まずCICとジャパンデスクの役割についてお聞きしたいと思います。

Camargoさん:
まずCICについて説明させて頂きます。1999年にケンブリッジの起業家向けにCo-working spaceを提供するサービスをスタートし、その後姉妹団体を2つ立ち上げました。

1つはベンチャーカフェというNPO団体。この団体は週1回イノベーター向けのネットワーキングイベントを行なっております。2つ目の姉妹団体はキャプテンズオブイノベーションという事業を行なっています。

またCo-working space事業に関して、現在は大企業の新規事業の種となるような新しいアイデアを生み出すため、サテライトオフィスの拡充に力を入れています。CICはアイデア創出のサポートを行なっています。

まとめると、CICで物理的なサポート、ベンチャーカフェでコミュニティのサポート、キャプテンズオブイノベーションでコンサルティングサポートを行なっている状況です。

その中でジャパンデスクの役割ですが、企業の規模感、事業内容に関わらずほぼ全ての日本からの問い合わせの窓口をジャパンデスクが担っています。

最近ではJETROさんとパートナーシップを組んでボストンに進出する日系企業を活性化させる取り組みを行なっています。

参照: JETRO Global Acceleration Hub
(※ここでは、無料でボストン進出に必要な準備とネットワークの紹介をして頂けるそうです。)

渡部:
ボストンと聞いてスタートアップとすぐに結びつかなかったのですが、実際にはネットで調べてみると、シリコンバレーに次いで2番目にスタートアップが多いようですね。なぜボストンにスタートアップが生まれやすいのか教えて頂けますか?

参考記事:ボストンは、米国で2番目に大きいスタートアップ資金調達の中心地としての、旧来の地位を回復した

Camargoさん:
そうなんですよね。ボストンはシリコンバレーに次ぐ優れたスタートアップのエコシステムを持っています。
ただ、このことは一般的に知られていないのが実情です。もっともっと多くの人にボストンの魅力を知って頂かないといけないなと思ってるので、順を追って説明したいと思います。

必要な全てが5km圏内に!コンパクトでオープンな街、ボストン

Camargoさん:
まずアメリカ国内では、ボストンは学問の街、大学の街として知られています。そのため面白い研究が次から次へと生まれて当然だよねという雰囲気があります。新しい研究が受け入れられやすい環境だと言えますね。

また環境面の話をすると、ボストンは非常にコンパクトにまとまっている街なんですよ。車は必要ありませんし、渋滞で困るなんてこともないです。

起業家にとって、自分のオフィス、投資家のオフィス、卒業したインキュベーションプログラム、通っていた大学、この全てが5km圏内にあるというのは非常に魅力的だと思いますね。
コンパクトである分、人材や情報の循環が非常にうまく回っていてスタートアップのためのエコシステムができあがっている環境だと思います。

また、コンパクトな街だから閉鎖的かと言うと、全くそうではなくて、ボストン出身ではない人、アウトサイダーにも非常にオープンな街となっています。

先ほど新しい研究が受け入れられやすい環境という話をしましたが、新しいアイデアを持った人材は、国籍など関係なく情報をシェアする環境が整っています。

カリフォルニアではなかなかアウトサイダーにここまでオープンな環境はないという話を聞きますね。特にアジアの企業は現地視察だけして帰っちゃう印象がついているという話を聞いたことがあります。

幸いボストンでは日本企業に対してそういうイメージはないので、チャンスですね笑

シリコンバレーでは響かないディープテックへの深い理解

渡部:
カリフォルニアとシリコンバレーの大きな違いはどこにあると思いますか?

Camargoさん:
大きな違いは、集まる企業のインダストリーの違いですね。
シリコンバレーはB2Cのアプリとかソフトウェア系のスタートアップが多いですよね。当然こういった業界のエンジェル投資家やVCはカリフォルニアの方が圧倒的に多いです。

それに対してボストンはバイオテックのメッカと呼ばれていて、サイエンス系の研究所が非常に多いです。世界的に有名な製薬会社のほとんどはボストンに研究所を持っていることで有名です。

またロボティクス系も非常に多いですね。iRobotやBoston Dynamicsなど有名な企業がボストンに拠点を置いています。

こういったディープテックと言われる、技術者でないとわからないような高い技術を持った企業はシリコンバレーよりボストンの方がネットワークが作りやすいですね。

実際にカリフォルニアでは話を聞いてもらえなかったけど、ボストンで大当たりしたという企業も多いです。
ものすごく深いテクノロジーの話をするとなると、あまりカリフォルニアは向いていないと思います。


参照: Camargoさんの勤め先、CICのIntroduction Video。
スタートアップ同士のコラボレーションを促進する取り組みを行なっている。

 冬は鍋を囲んで情報共有?密な日本人コミュニティ

渡部:
日本人が海外で起業する場合、現地の日本人コミュニティも大切になるかと思いますがボストンの日本人コミュニティはいかがですか?

Camargoさん:
そうですね、ボストンにはかなりいい日本人コミュニティが整っていると思いますよ。

先ほど申し上げたように、ボストンは非常にコンパクトな街なので日本人同士が繋がりやすいんですよね。繋がった人同士で、ミートアップなどが盛んに行われていて、非常にいいエコシステムができています。

ボストンの土地柄が出ているかなと思うんですが、いい具合に田舎なので、そこまでみんなガチガチしていないんですよ笑。みなさん本当に優しい人が多いですね。
冬はすごい寒いので、みんなで鍋を囲んで情報シェアしましょうという雰囲気があります。

現在私はボストン女子会というコミュニティを立ち上げて、月1回飲み会を開催しています。
このコミュニティには現在200名以上のメンバーがいるんですよ。メンバーは学生から、研究者、アーティストの方など様々でそこでいろんな情報がシェアされています。

これもボストンならではだと思うんですが、狭い街だからこそ1つのコミュニティに色んなタイプの人が集まって、情報をシェア出来ていると思うんですよね。

また企業のボストン進出という目線から見ても、ボストンにはかなり魅力があると思いますね。
先ほどバイオテックのメッカという話をしましたが、武田薬品さん、エーザイさんなどの日本の大企業もボストンに進出しています。ボストンにまずプレゼンスを置くだけでもかなりビジネスチャンスが広がると思います。


写真:ボストン女子会の様子

バイオティクス、ロボティクス、今後はEdtech系も熱い

渡部:
今後ボストンで受けるのは、どんな業種だと思いますか?

Camargoさん:
まず間違いなくバイオティクスとロボティクス系は今後も伸びていく分野だと思います。その2つの業界に加えて、教育系も面白いかなと思っています。

ボストンでは教育とテックを合わせたEdtech系の企業が増えていて、世界中で活躍しているんですよ。

それに対して日本は教育業界に中々新しい考え方やテクノロジーが入り込むことが少ないですよね。
こういう問題は企業であったり、新しいアイデアを生み出す人が立ち上がらないと、なかなか変わらないのかなと思います。

そういう新しいアイデアを持った企業とボストンのイノベーションが組み合わさると面白いものが生まれるのではないかなと思います。

実際にCICでも面白いイベントを企画していて、3月7日にジャパンイノベーションナイトというイベントを行います。
日本にフォーカスしたイベントではあるんですが、現地の教育関係者も集まるので、こういう場で新しアイデアが生まれるといいなと思います。


写真:以前行われたジャパンイノベーションナイトの様子

ボストン進出成功の鍵はネットワーキングとストーリーテリング

渡部:
今後日本企業がボストン進出する際にどのような準備が必要ですか?

Camargoさん:
今までの成功事例を見ると、やはり海外進出の準備がしっかりできていた企業が成功しています。

まずは日本でしっかりと実績を残していること。そしてその後にネットワーキングセールステクニックを抑えているかが重要になります。

実際にJETROさんとのプロジェクトで繋がった企業の成功事例でいうと、LPixel様というスタートアップ企業があるのですが、この企業はしっかりとした海外進出のビジョンがあったことが成功に繋がったと見ています。


参照: LPixelのウェブサイト。「研究の世界から革新とワクワクを!」というミッション掲げ、世界トップレベルのライフサイエンスの画像処理・解析技術を提供する。

まずLPixel様には英語でしっかりとコミュニケーションを取れるスタッフがいたことが大きいです。第三者が間に入らずに、ダイレクトにコミュニケーションができた方が、ディスカッションは確実にスムーズにいきます。

また、LPixel様は既存のCTとMRIのメディカルイメージングテクノロジーと人工知能を組み合わせたテクノロジーの開発を行なっており、こういったテクニカルな業界であればボストンへの進出が的確ということをしっかりと理解していたことが大きいです。

そして必要な準備は
1.ネットワーキングスキル
2.ストーリーが伴うセールステクニック
この2つかなと思います。

渡部:
この2点については以前ボストンマーケティングパートナーズの2人にインタビューした際も重要という話が出ました。

Camargoさん:
この2点は本当にボストンでは重要ですからね!

まずネットワーキングですが、ただの名刺交換ではなくて自分の話をすることが重要です。これは特に技術者にとっては非常に難しいかなと思いますね。
初めて話をする人にもわかりやすく自分が行なっていることを伝える技術が必要になりますからね。

またこのネットワーキングで重要になるのは、Soft Connectionです。
初対面の人にいきなり一緒に事業しましょうという話はまずしません。
その人から直接何かを得ると言うだけではなくて、幅広いネットワークを作ることが重要です。
まずは友達になって、その人とは直接ビジネスにつながらないかもしれないけど、その人の知り合いは興味があるかもしれない。こういったネットワークを形成することが重要となります。
あった瞬間に名刺を交換するのはナンセンスですね。
ネットワークに関しては、慣れが必要だと思うので、たくさん場数を踏んで慣れていくしかないかなと思います。

ストーリー立てたセールステクニックについては、どういった背景からこの事業を行なっていて、なぜボストンに来たのかということがシンプルにまとめられていることが重要です。
先ほど紹介したLPixel様はこの背景立てがしっかり出来ていたことが成功に繋がった理由だと思います。

またセールステクニックという部分では、ピッチデック(プレゼン)が鍵です。日本の場合、セールスピッチは技術的な話を重要視して、資料を読みあげるという印象が強いです。

それに対して、アメリカでは、ピッチデックはあくまで相手に興味を持たせるツールとして使われます。その商品を使うとどのようなことが可能になるのか相手にイメージさせるわけです。

技術的な話はその後に行えばいいのですが、この順序が逆になっているケースが多いです。
どうしても最初に「我々はこんなことができます」と長々と説明してしまいがちですが、それをやってしまうと聞いている側は興味を持つ前に話を聞くのをやめてしまいます。

アメリカだけがこういうスタイルではないと思いますが、現地の企業がどのようにプレゼンを行うのかという部分も把握して、しっかり練習する必要がありますね。

渡部:
最後にこれからボストン進出を考えている人にアドバイスをお願いします。

Camargoさん:
CICで色んなイベントをやっていると、日本人のコミュニティがこんなに熱気があるんだと、私自身も毎回驚かされます。

まさに今大きな波が来ているので、検討している方は今がチャンスです!特に女性大歓迎です笑!

まとめ

ボストンはスタートアップの為のエコシステムが整っているという表現が印象的でした。

情報のシェア、ネットワークの形成が鍵となるスタートアップにとって、街全体にこのような環境が整っていることは、大きなメリットとなると思います。

そこにCICのようなサポートの場が組み合わさることで、さらに日本からのボストン進出が増えてくるのではないかと感じました。これからさらに成功事例が増えて、エコシステムがより活性化されれば益々スタートアップにとって魅力的な街になるのではないでしょうか。

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