近頃、英文ライティングや英語でのコンテンツ制作のニーズが高まってきたせいか、英語コンテンツに関してネイティブチェックの重要性を耳にする機会が増えました。さて、本記事では、そもそもネイティブチェックとは、なぜネイティブチェックが必要なのか、ネイティブチェックをするときの大事なポイントについてまとめました。
僕自身、カナダ・バンクーバーのマーケティング会社に勤務。クライアントのwebサイト、ランディングページ用のコンテンツの叩き台を作る機会があり、それを外に出せるレベルにするためにコピーライターと連携して仕事することが多々ありました。そこから英語コンテンツを作るために学んだことをシェアします。
目次
ネイティブチェックとは
ネイティブチェックとは英語に翻訳した文章をネイティブにチェックしてもらう作業を差します。文法、誤字脱字から不自然な表現までまとめてチェックし、元の文章をネイティブスピーカーが見ても自然に頭に入ってくるレベルに仕上げる工程です。特にウェブサイトや、プロモーションに関連するものであればなおさらネイティブチェックは必須です。ネイティブチェックとは日本語英語で、英語で近い表現はProofreadingです。
意味が伝わればOKでしょ?ネイティブにわざわざ見てもらう必要ある?お金と時間の無駄なのでは?
そういうあなたに見て欲しい画像がこちら
引用: 哲学ニュース
文法やなにもかもめちゃくちゃです。かろじて何が言いたいかわかるレベル。同じウェブサイトからもう1枚。
引用: 哲学ニュース
理解できるレベルになりましたが、まだ不自然さが残る文章です。英語を直訳したかと思われる文体。「ぷんぷん」のニュアンスはどちらかといえば臭いイメージなので、やっぱりまだ不自然です。質の良ソとはいえない普通に笑える内容です。
どれだけサービス・商品のクオリティやそれに対する熱い思いを描写しても、残念ながらこのレベルだと笑いのネタにしかなりません・・・・。
これの逆バージョンが英語で起こる可能性があると考えてください。
特に知り合いのちょっと留学にいってて英語分かる人にお願いするとこんな感じになるかもしれないので気をつけてください。
わりとカジュアルな分野だと、多少文法を間違えていてもokですが、プロフェッショナルな分野で文法のミスが多いと信用できないと思われ、失注に繋がります。
ネイティブがチェックすればいい・・・というわけでもない
「知り合いにアメリカ人いるからそいつにネイティブチェックさせるわ!それで大丈夫でしょ!」
英語はネイティブに任せれば大丈夫でしょ!と思いがちですが(少なくとも僕はそうでした)、全くそんなことはありません。ネイティブはあなたの考えを全て察してくれる神様ではないし、むしろ確認なしに、思う通りにどんどん修正を入れられて、言いたいことと全く違うものになってた・・・なんていうのは当たり前に起こります。
主な原因としては
1. 原文の英語がひどすぎて意味不明
2. 専門分野すぎて意味不明
の2点が挙げられます。
1. 原文の英語がひどすぎて意味不明
もしあなたが、さきほどのこの画像をちゃんとした日本語に直してくださいとお願いされたらどうするかを考えてみましょう。
おそらく1から全て作り直すのではないでしょうか。おそらく原文の跡形も残らない形になるかと思います。こうなってくると、ただの英文校正ではなく、ライティングの作業になります。
2. 専門分野すぎて意味不明
わりと見落としがちなポイントですが、英語がわかっているからといって、あなたの専門分野がわかっているとは限らないという点。
専門性の高い分野になればなるほど、チェックするネイティブの知識量が求められます。
例えば「エクセルを使った作業効率を2000倍上げる方法!」という内容のコンテンツを英訳したい!となったときに、そもそもエクセルの使い方がわかってないと、かなり表面的な文法のチェックしかできません。
他にも、普段ヨガばっかりやってるエレガントなセレブがゲームのレビューを書けるわけはなく、普段粗食でマクドナルドばっかりいってる人が、オーガニックのコンテンツなんかチェックできないのと同じです。
そのため、その辺のネイティブを捕まえて、大事な案件を依頼するのはやめましょう。最低でも、その分野がわかってないとクオリティは期待できません。
自身の体験談としては、今の会社に入ってまもないころ、SEOに関するブログを書いた時の話があります。
僕の原文がひどかったのもあり、コピーライターが編集してできあがったものは原文からほど遠い、かなり意訳して作られた物になりました。その後3-4 回ほど校正のキャッチボールを繰り返し、最終的に公開できるレベルになりました。
僕のケースは1) 僕の説明する英語力が不十分、2) コピーライターがSEOの知識ほぼゼロ、という2つの理由でかなり時間がかかりました。
英文校正、ネイティブチェックのあるべき運用方法
上記2つの問題解決するには、下記3点をクリアする必要があります。
1. ネイティブが理解できる程度の英語にする
2. 専門分野がわかるネイティブにチェックしてもらう
3. 内容と英語ができる人が最終チェックをする
1. ネイティブが理解できる程度の英語にする
原稿をネイティブチェックに投げる前に、英語を理解できるしっかりしたものにしなければなりません。ただ、完璧である必要はありません。もしあなたが英語が全くできない場合は、英語に直せる人を間に立てる必要があります。
2. 専門分野がわかるネイティブにチェックしてもらう
特にBtoBのビジネスなど専門的な分野の場合は、その分野に明るいネイティブにチェックしてもらう必要があります。そうしないと、ネイティブがその分野を理解するのに大量の時間を使うはめになります。もし、専門分野がわかるネイティブを見つけるのが難しい場合、最低でもしっかり理解している人を間に立てましょう。
3. 内容と英語ができる人が最終チェックをする
どれだけ完璧なネイティブを雇ってもミスや誤解は確実に起こります。先にも触れましたが「ネイティブに頼んだからok」という考えは捨てましょう。
上記で説明した通り、原文の英語が不完全すぎる、もしくは原文は良くてもネイティブの知識量が少ない、内容を理解しきっていないと本人が納得する範囲内で訳してしまう。もし、意訳の間違いが分かる人がいないと、間違っているのにそのまま公開もしくは配布してしまい、そのことに誰も気がつかないなんてことにもなります。
文章・コンテンツの内容を120%理解しており、かつ英語の間違いができた時に気付ける人がネイティブチェック後の最終チェックを行うようにしましょう。
さて、ここまでの話で薄々気付いた方もいるかと思いますが、ネイティブチェックは重要ですが、コンテンツのクオリティを担保するという部分では実は日本語を英語にする、間に立つ人が鍵を握っています。
下記2つのスキルを持っている方に間に立ってもらいましょう。
1. 意思疎通ができる最低限の英語力と内容の間違いに気付ける英語力(少なくとも、方向が反れたときに軌道修正できる)をもっている
2. 文章の内容とそのトピックの周辺情報をちゃんと理解している
ネイティブにお願いしたから大丈夫だろうという安心感、母国語じゃない不安、そして確認にかかる時間と労力はありますが、間に立つ人にしっかり確認してもらうようにしましょう。
間の人にネイティブチェックをお願いすべきでない理由
そもそもその間違いに気付けるレベルの英語力があれば、その人がネイティブチェックすればいいのでは?と考える方がいらっしゃるかもしれません。
素晴らしいツッコミですが、問題が2点あります。
1. 英語は完璧に理解できても、完璧にアウトプットできるとは限らない
2. 英語と日本語両方理解できるからこそ、不自然になりやすい
1. 英語は完璧に理解できても、完璧にアウトプットできるとは限らない
内容の間違いをチェックできる英語力があっても、シチュエーションにあった自然な表現ができるとは限りません。また、その辺がクリアになってもアウトプットが十分にできるだけの英語力があるとは限りません。
2. 英語と日本語両方理解できるからこそ、不自然になりやすい
もし、アウトプットも完璧にできる人が原文も書いて、ネイティブチェックもやる場合でも問題があります。
英語から日本語に直す作業とネイティブチェックの両方を1人でやると、日本語脳に引きづられて、違和感のある文章になる傾向があるためです。
個人的な経験から日本語を英語にする過程で大きく分けて下記2つの工程があると考えます。
1. ネイティブが日本語から英語に直す作業
2. 英語を英語らしく整える作業
「英語を英語らしく整える作業」とは
本人は日本語と英語の両方がわかるので、日本語みたいな言い回しの英語でも理解できてしまいます。それが原因で英語に直した時に、日本語を直訳したような内容になってしまいやすくなります。なぜならそれでも自分が理解できてしまうからです。
日本語訳された海外のニュースや記事がたまにとても読みにくいのは、それが原因ではないかと考えます。
実は以前、友人に頼まれて英語を日本語訳する仕事をしましたが、自分で訳していてとても不自然だと感じる文章になったのを覚えています。なので、1) 一旦、日本語にそのまま訳す、2) 時間を空ける、3) あらためて編集するという3段階で作業をしました。とてもストレスがかかる作業で、できればもうやりたくない・・・と思う仕事です笑
また、英語と日本語は言語のテンション、文章の切り出し方、改行の仕方などのフォーマットが違うので、そのまま訳すとなんか不自然・・・という文になりがちです。その1例として、こちらのマーケティングに関するブログ記事(海外のコンテンツを直訳したのではないかと思います。)
記事の冒頭は下記のように始まります。
人間は、いつも楽をしたがります。最低限の努力で、日々何かしら目標を達成するために、あらゆる便利なものを探しています。例えば、なんとなくテレビコマーシャルを眺めて、努力することなく6パックの腹筋を手に入れることができるような製品を目にしたり、好きなだけ食べても体重が落とせることを約束するようなダイエット製品を目にするでしょう。残念ながら、楽をして結果を得ようとしたがる傾向はデジタルマーケティング業界でも同じことが言えます。例えば…”
細かい部分は置いておいて、日本のブログでこういう切り出し方や表現の仕方をするのは、あまり見かけません。
これは日本語から英語でも同じ事がいえます。1人で翻訳とチェックをすると、この辺の違いに気付きにくくなり見逃してしまいがちです。このままでも悪くはないですが、少し読みづらい文章なのは否めません。
そのため、英語に直す人とネイティブチェックは分ける必要ありというのが個人的な意見です。
最後に: 英語のマーケティングマテリアルとネイティブチェック
最後にマーケティングに使うコンテンツの英語化を翻訳会社に外注しようと考えている方へ
翻訳の箇所のみを外注するよりも、最初から現地のネイティブのコピーライターを雇ってしまうことをおすすめします。
Googleで検索すると下記のような論文や特許専門の翻訳会社が複数社ヒットします。
1. ワールド翻訳サービス
2. Enago
3. Forte
マーケティングに使う英語コンテンツは通常の英語翻訳と比べて少しトリッキーです。
その理由は、情報を正しく伝えるだけではなく、商品・サービスの魅力・ポイントを簡潔かつ効果的に伝えなければいけないためです。属にいうコピーライティングの領域です。
そのためマーケティングに使う英語コンテンツの場合、内製で日本語コンテンツを制作して、英語添削・ネイティブチェックを外注して終わりというのは得策ではないと考えています。少し手間とコストがかかりますが、現地のネイティブのコピーライターを雇ってしまうことをおすすめします。
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