インタビュー , 北米起業

ベトナム進出の4つの魅力 | ベトナムの人材エージェントGrasp!代表のKumazawaさんへのインタビュー

ベトナム進出の4つの魅力 | ベトナムの人材エージェントGrasp!代表のKumazawaさんへのインタビュー

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今回はベトナム・ホーチミンで人材会社を起業された熊澤さんにインタビューさせて頂きました。ベトナムでの会社勤務、起業に至った経緯、ベトナムでのビジネスの特徴や今後の展望についてもお伺いしました。

Profile:
熊澤 琢光 (Takumitsu Kumazawa)
ベトナム・ホーチミンにて採用支援・転職支援サービス会社「Grasp!」を経営。2011年にベトナム移住してから現地採用で、人材サービスの日系企業2社で経験を積む。ベトナムの人材業界が抱える問題を目の当たりにし、その解決に自身の経験を活かすべく起業。現在は日本人のキャリア相談・ベトナム転職支援だけでなく、技能実習から帰国後の方も含めてベトナム人のキャリア相談も行うキャリアコンサルタント/カウンセラーとして活躍中。

#1 ベトナム進出の4つの魅力

#2 ベトナムでうまく立ち回る3つのポイント

(※以下の記事はインタビューのハイライトです。)

野村:
早速、自己紹介をお願いできますか?

Kumazawaさん
熊澤と申します。2011年にベトナムに移住して今9年目です。Grasp!という人材会社を起業して、これまでベトナム人・日本人の転職支援を行ってきました。日本人の方だけで700人くらいの転職の相談を受け、実際に230人が転職に成功されました。

ただ仕事の紹介をするだけでなく、キャリアコンサルティング/カウンセリングを得意としています。


参照: Grasp!ウェブサイト

ベトナム人材業界の実態と起業のきっかけになった問題意識とは?

野村:
ベトナムの人材業界についてお聞きできますか?日本と異なるのでしょうか?

Kumazawaさん
現在、ベトナム国内には日系の人材会社が40-50社程度あります。日本でも知られている最大手の企業から、小さい規模まであります。人材紹介やいわゆるHRテックなど様々です。

Grasp!も行っている人材紹介サービスのビジネスモデルとしては「採用したい企業」と「求職者」両方の間に立って仲介するビジネスです。

野村:
50社もあると競争が激しいんじゃないですか?差別化のポイントはありますか?

Kumazawaさん
非常に激しいですね。理由は人が仲介して行うサービスなので、そもそも際立った差別化が難しい業界なんです。

差別化していく中で、現時点ではHRテックに入ろうとはしていません。私たちの差別化ポイントとしては、「当たり前の事を当たり前にやろう」と心掛けています。サービス受容者の納得感が得られるレベルで提供していこうとしています。

ベトナム人材業界の問題点が根底にあります。双方(求職者・企業側)への理解が表面的であったり、募集情報と求職者の情報の提供・交換が一般的で、その情報を元に分析・解析してマッチングするコンサルティング機能が非常に薄い点です。 単純な情報の出し入れのみという、情報の非対称性を活かすのみで進めるというやり方が横行しています。

野村:
なるほど。例えば転職先を探している場合、人材会社はその人の履歴書や情報を会社に投げるだけのイメージですか?

Kumazawaさん
そうですね。採用側の会社からしたら、そういう印象が強くなってしまっています。

野村:
ベトナムの人材業界全体で起きていなら、双方の満足度が低そうですね。

Kumazawaさん
そうですね。顧客の満足度に対して把握して、改善しようとしていないと見受けられます。この問題意識が起業のきっかけにもつながりました。

ベトナムにて転職・起業する方の年齢層

野村:
視聴者からコメントを頂きました。「香港在住25年で、カンボジア・ベトナムへの転職移住を希望しています。」実際ベトナムに移住される方も、アジア間の移動が多かったりしますか?

Kumazawaさん
今まさに香港在住の方のベトナム転職を進めています。50代の方ですね。

野村:
アジアでの経験が活かされるというのはありますか?

Kumazawaさん
日本や香港のように成熟したマーケットでの経験は、ベトナムでは持っている人がいないんです。そういう点では経験は相当活かされると思います。

野村:
ベトナムで転職・起業される方の年齢はどうですか?

Kumazawaさん
支援した中では、70歳の方がマックスでした。中央層は45歳くらいまでです。

野村:
若い人はどうですか?

Kumazawaさん
過去は新卒の方の転職事例もありましたが、現在はビザが出なくなってしまいました。2014年までは4年生大学新卒でビザが取れたのですが、今は新卒は取れなくなっています。ベトナム以外でのキャリア3年以上が今は必須です。

ベトナム進出の魅力とは?

乗り越える文化のハードルが低い

野村:
ベトナムで起業することの魅力についてお伺いできますか?

Kumazawaさん
いわゆる北米・欧州と比べると色々な点で異なります。ベトナムと日本との類似点がポイントになります。ベトナムは仏教国であり、儒教の考え方が強く、人種もモンゴロイドという点から日本と文化が似てると感じることが多いです。

経済や社会の発展度が日本と比べてまだ低いのもポイントです。今、程よく発展している状況です。進出する点ではハードルが下がるかなと思います。

向こう10年・20年は続くであろう経済成長

野村:
アメリカと中国の関係悪化で、中国工場の継続がダメになった時、ベトナムで工場作るという流れが最近多いと思いますが、ベトナムは今後も経済成長していきますか?

Kumazawaさん
短期・中期・長期という観点で申しますと、短期・中期は経済成長は続きます。やや長めに見ていますが、20年程度はビジネスチャンスが続くと思います。

今中国では、日系企業の撤退ブームが始まっているタイミングだと思います。中国は伸びていると言われてきて数十年経ちましたが、かげりが見えてきました。そのリプレースメントでベトナムがあると思っています。短期中期ではその観点で成長が見込めますが、その後は中国と同じような事が起こる可能性もあると見ています。

求められる英語力のハードルが低い

野村:
語学面ではどうでしょうか?

Kumazawaさん
母国語はベトナム語です。英語は日本人がビジネスをする上では必要なのですが、欧米など英語を母国語とする国と比べると、ハードルが低いという点も魅力の一つではあります。

野村:
熊澤さんは普段何語でビジネスをされているんですか?

Kumazawaさん
普段は英語と日本語を使っています。仕事をしている中でよく目にするのが、英語が上手じゃない人が堂々と話す姿です。

これは日本人にとっても大変勉強になる姿勢だと思います。英語力に自信が無くても、向こうも完璧じゃない。上手じゃなくても、どんどん自分の意見を言っていくという姿勢は学ぶべきだなと感じます。

チャンスを掴むためにゼロから挑戦できる環境

野村:
他にも何か魅力はありますか?

Kumazawaさん
ベトナムに来たのが、35歳の時だったのですが、実は過去に海外赴任や駐在の経験って全くなかったんです。思い立ってベトナムに来たのですが、何もないところからスタートしました。

いわゆる現地採用で仕事を見つけました。今は日本以上の水準を維持していますが、当時の給料は日本で最後にもらっていた額と比べると1/3超程度。

誰でも絶対できるという断言はできないけど、チャンスはあると見ています。チャンスをつかむために新しい行動に移す、地理的条件を変えてみるというコンセプトを試せる場所だと思っています。

野村:
日本ではどんなお仕事をされていたのですか?

Kumazawaさん
某大手食品・飲料メーカーで勤務していました。完全キャリアチェンジ・ライフチェンジでした。大学で英語は勉強していましたが、その後仕事で使うこともなく。もちろんベトナム語も全然でした。

野村:
本当にゼロベースでチャレンジできるということですね。

Kumazawaさん
そうですね。私も実を言うと、元から起業したいという強い思いがあったわけではないんです。ベトナム人材会社での経験を活かしつつ、周りからのサポートを受けながら、結果的に会社を作ることとなり事業を始めることが出来ました。

起業のきっかけとビザ問題について

野村:
ちなみに起業のきっかけは何だったんですか?

Kumazawaさん
ベトナムで人材会社2社で勤務していました。1社目は5年、2社目は2年です。2社目のビジネスが少し上手く行かなくなってきた所で、経験があるんだから自分でやろうかなと思って起業に至りました。

野村:
ビザやビジネスライセンスの問題はどうでした?

Kumazawaさん
ベトナム人である私の妻と、現地の友人に協力してもらいました。ベトナムはビジネスライセンスが取りやすい点もいい所だと思います。ビジネスライセンス取れればビザも取れる仕組みです。

具体的に言うと、外国人がベトナムから見た外資系企業として事業やるなら、ある程度のお金かかります。ミニマムで500万円程度。ベトナム人と共同なら100万円程度で設立できます。

野村:
ベトナム人パートーナーがいた方がスムーズにいきそうですね。お金の問題だけでなく。

Kumazawaさん
そうですね。私の場合はそれが妻だったというのが正直なところです。

ベトナムでビジネスをする際うまく立ち回るポイントとは?

日本での経験・スキルに固執しすぎない事

野村:
ベトナムでビジネスをする際にうまく立ち回るコツはありますか?

Kumazawaさん
一つは日本のやり方や、日本でのスキルに固執しない事です。

ベトナム転職にあたり、日本での経験やスキルを活かしたいという人が多いのですが、一旦スキル・経験は横に置いて、ゼロベースで新たなマーケットに入っていくという姿勢が大事かなと思います。

野村:
なるほど。固執しすぎないという点がポイントですね。大手企業でのネームバリューや経験は通用しますか?

Kumazawaさん
もちろん日本でのキャリア経験は他人から見たら評価されます。エンジニアなどは経験が無いと難しいです。

固執しないというのは自己評価でという意味合いです。皆さん当然ベトナムでの経験がない所からスタートします。初めての国に入ってきて、いきなり成果は出せないものです。日本での経験に固執しすぎずオープンに構えていた方がいいかなと思います。

外国人という立場を上手く活用する事

Kumazawaさん
他には、外国人の立場をうまく利用する事です。外国人ならではのコミュニティができていて、普段会えないデシジョンメーカーと出会う機会も多くあります。うまく繋がってネットワーキングしていくことも重要です。

野村:
最初は現地に入っていくというより、外国人コミュニティの中で広げていくというイメージですか?

Kumazawaさん
そうですね。ベトナムに入る第一歩としては重要だと思います。その後現地でのコミュニティを広げていくのが、いいと思います。

国民性への理解

野村:
その他ポイントはありますか?

Kumazawaさん
日本人が考えるベトナムのイメージは、真面目・勤勉で素朴というのが一般的だと思います。しかし真面目というのは非常に曖昧な言葉で、過度に期待してしまうのは良くないです。

真面目という言葉にも色々な意味があります。ベトナム人の強みとして、一つの作業をずっとできるという特技があります。これは日本人が思う真面目という言葉とズバリ一致はしません。

野村:
責任感があるという真面目ではなく、コツコツってことですね。

今後の展望とベトナム進出を検討している方へ一言

野村:
今後の展望についてお聞かせください。

Kumazawaさん
家族がベトナムにいるという事から、ベトナムと日本に関わる事業をやっていきたいと思っています。ベトナムと日本の経済の発展、幸せに貢献していきたいです。

転職・採用・人材・就職に関わる仕事なので、「仕事、働くこととはなんだ?」ということを常に考えています。働き方、生き方そのものが多様化していっているので、何かしらの形で貢献していきたいなと思っています。

野村:
ベトナム進出を検討している方々へ一言お願いします。

Kumazawaさん
ベトナムはチャンスが多い国です。ほとんどの方に当てはまると思いますが、高度経済成長を経験した事がない世代としては、何かをやってみて成功するという経験を積める国でもあります。

日本で何か大きな事を成し遂げたという経験がない方でも、改めて挑戦するのに向いている場所と言えます。言い換えると成功体験を積めるいい国です。

日本の状況からしても仕方ない部分はあるのですが、今の生活や仕事の状況に閉塞感を感じている人は、自分の歩むべき正しい道を見つけるチャンスになります。

当然、ベトナムで住んで働くのはリスクがあります。これは日本にずっといてもそうだし、欧米に出て行ってもそうです。ベトナムに来たら全てOKという訳ではありません。

でも、自分の人生を引き受けるという覚悟を持つタイミングとしては今のベトナムは充分にいろんなチャンスをつかめる国ではないかなと思います。日本で何かしらの閉塞感を感じている方にとって「海外に住み・働く」事が選択肢の一つになるために広く伝えていきたいと思っています。

ライブインタビューのノーカット版:

ベトナム進出の魅力 | ベトナムの人材エージェント Grasp!インタビュー

ベトナム進出の魅力 | ベトナムの人材エージェント Grasp!インタビュー

野村 晶大さんの投稿 2019年4月12日金曜日

他のインタビュー動画の一覧はこちらから。

まとめ

今回はベトナム・ホーチミンで人材会社を起業された熊澤さんにお話をお伺いしました。短中期では経済成長が見込めるという国の立ち位置や、日本との共通点の多さから誰にでも進出のチャンスがあるという点が魅力と言えますね。人生を切り開くために、地理的条件を変えて、新たなチャレンジを試すには良い場所という言葉が印象的でした。貴重なお話をありがとうございました。

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