今回は、ハードオフ米国法人であるEco TownのCOOの山崎さんにインタビューさせていただきました。山崎さん主導でこれまでハワイにアメリカ1号店を出店し、成功を収め、現在はアメリカの西海岸、カリフォルニアに進出し2019年の11月にはカリフォルニアの2号店を出店する計画です。
インタビュー記事2つ目では「Eco Town流アメリカ人社員のモチベーションアップのためにできる4つのこと」についてお話をお聞きしました。
山崎 貴明: 大学卒業後、中古品リユース販売業「ハードオフコーポレーション」の一業態である「OFF・HOUSE」にて店長・統括店長としてマネジメントの経験を積む。海外進出における子会社の設立から携わり、2017年4月に海外進出1号店「ECO TOWN」をハワイにオープン。現在はCOO として、店舗運営から人材マネジメント、海外ビジネス拡大に向けた新店舗の立ち上げ等幅広い業務を統括している。
「Eco Town流アメリカ人社員のモチベーションアップのためにできる4つのこと | Eco Town COO 山崎さんインタビュー #2」
山崎さんへのインタビュー前半はこちら

目次
Eco Town流アメリカ人社員のモチベーションアップのためにできる4つのこと
野村:
アメリカは、人材の流動性が高いと聞きますがいかがでしょうか?
山崎さん:
高いですね。応募は結構来ます。ただ簡単に辞めてしまう人が多いのも事実です。
つなぎ留めるためにしっかりしたマネジメントをしないと、すぐに辞めてしまうんだろうなと感じます。
私たちの会社では3ヶ月で26名の方を採用しましたが、3名しか辞めていません。アメリカの平均レベルからすると、かなり凄い事だと思っています。
野村:
もっと短期間で大人数が辞めることもあるのでしょうか?
山崎さん:
そうですね。例えばオリエンテーションが終わったら来ない、初日で来ないというのはよくあると聞きますね。
夢を語る
山崎さん:
社員モチベーションUPのために取り組んでいる事の1つ目は「夢を語る」という事です。
他の小売業から転職してくれた方も多いので、その違いを出すという意味でも、単純ですが夢を語るようにしています。今は2号店が決まっているので、マネージャーやアシスタントマネージャーを今の店舗から、選抜することを検討しています。
マネージャーなど、重要なポジションで働ける機会がある、という事を伝えるようにしています。
評価基準を明確にする
山崎さん:
2つ目は、彼らの評価基準を明確にする事ですね。
日本の場合は、働く側に責任感があるので、割とフワッとした指示でも考えてしっかりやってくれるんです。
一方、アメリカでは曖昧な指示だとちゃんとやってくれませんし、それはマネジメントの責任になります。権限を与えて、ここまで期待しているという事を伝えると、日本人以上に責任感を持ってやってくれる場合もありますね。
野村:
どのくらいまで詳細に指示するのでしょうか?
山崎さん:
アメリカでは、ジョブディスクリプション(JD)によって業務を明文化することが一般的です。
JDに書かれていない項目は評価にならないと考えますし、仕事の分担がしっかりしています。日本には無い文化ですよね。
例えば「店舗の数字に貢献する」というように、大きな項目で書いておけば、色々な仕事を振ることは可能です。とは言え、なるべく細かく書いておいた方が自己防衛にもなりますし、本人のモチベーションUPにも繋がると考えています。
責任の権限を落とす
山崎さん:
3つ目は「責任の権限を落とす」ことです。
例えば買取価格、値下げなど、いくらまでだった許容できるのか自分でジャッジできるように権限を落とすことが重要だと思います。
野村:
海外進出をしている企業で、日本本社との兼ね合いで権限権限委譲が難しいという話を良く聞きますが、いかがでしょうか?
山崎さん:
アメリカ進出準備をしていた時に、その課題は常に念頭にありましたね。何でもかんでも日本本社に稟議を通す必要があると、権限委譲の問題だけではなくスピード感を持って動けません。そのため、現地で決裁が出来る体制を整えました。
組織的に私(COO)の上がCEOなのですが、本社の社長が兼任しています。そのため私の上司であるCEOの決定が、同時に日本本社としてのジャッジになるんです。そのため、逐一日本本社に話を通す必要がなく、スピード感を持って動けています。
また、自分たちで決定出来るということは、責任を取るという意味でモチベーションUPにも繋がると感じています。
リーダーをやらせる
山崎さん:
4つ目は「リーダー」を任せることですね。現在店舗で働いているのは25名くらいなのですが、約70%が学生さんなんです。
学生と言っても「自分のキャリアに対する意識」が非常に強く、リーダーをやりたがる人が多いんです。
2号店の立ち上げにあたり、今の店舗で働いている人をストアマネージャーとして連れて行くという話をすると、前のめりになって「リーダーをやりたい」と言ってくれるんです。その文化は素直に凄いなと思いますね。
野村:
意識が高いですね。
山崎さん:
はい。それを受けて、「日替わりリーダー」という「1日その人の指示で運営する」という仕組みを実践しています。
指名すると、仕事を終えて帰る時に「リーダーをやらせてくれて、ありがとう」とお礼を言ってくれるんですね。
野村:
それは凄いですね。採用面接の時にも、責任のあるポジションにつきたいと言う人が多いのでしょうか?
山崎さん:
志望動機で一番多いのは「新しいビジネスだから体験してみたい」ですね。こちらでは、グリーンやエコに興味ある人が多い印象です。
また「いつか自分で独立したいから、服も機械も扱う経験が積める店舗で働きたい」という方も多いです。
「就職する前に、リーダーを経験して自分のキャリアに箔をつけたい」という人も多いですね。キャリア形成については、日本以上にシビアに真剣に考えています。
アメリカに進出する方に向けたアドバイス
山崎さん:
これは私自身も海外進出前に、周りの方から言って頂いた事なのですが「まずやってみないと分からない」という事ですね。
海外に出る際にリスクはもちろん考える必要がありますが、まずは挑戦して欲しいですね。やらないうちは分からない。振り返ってみると、本当にその通りだなと思います。
当然障壁になる事は出てきます。色々考えて準備していても市によって条例が違ったり、言っている事が変わったり、実際に来てやってみないと分からない事がたくさんあります。
こちらに来て「やりながら考えることの重要性」を強く意識するようになりましたね。まず来るという事が重要なのではと思います。
まとめ
インタビュー後半では、Eco Town流アメリカ人社員のモチベーションアップのためにできる4つのことについてお話をお伺いしました。「ジョブディスクリプションで責任範囲を明確にする」、「キャリアに対してシビアに考える習慣」など、日本とは異なるマインドや習慣を持つ方々に対して、モチベーション高く働いてもらうためにはという観点で非常に参考になるお話でした。貴重なお話を聞かせて頂き、ありがとうございました。