Touch-Baseの10人目のインタビュウィーは山崎さんです。East Meet Eastのマーケティングディレクターとして動画を軸にマーケティング戦略を展開し、全米1位のアジア人デーティングアプリに導きました。北米では動画を使ったマーケティングが注目されており、今回はそのお話を伺いました。
プロフィール:
Ken-Travis Yamazaki
University of Georgiaのロースクールを卒業後、弁護士資格を取得。その後、ゴールドマンサックスを初め、金融の世界を経験した後、マーケティングディレクターとしてニューヨークのスタートアップ、East Meet Eastに参画。動画を軸にしたマーケティング戦略を展開して、同サービスを全米1位のアジア人デーティングアプリに導く。
目次
弁護士資格を取得後、金融業界を経てマーケティングの世界へ
野村:
まず最初に気になったのは山崎さんの経歴です。
アメリカのロースクールで弁護士資格を取得後、ゴールドマンサックスを初め金融の業界を経験され、East Meet Eastのマーケティングを始めることになったきっかけをお伺いできますか?
山崎さん:
実は代表の時岡とは大学の同級生で、友達としてずっと連絡をとっていました。
彼女はその頃、別のスタートアップにてCOOをやっており、そのスタートアップを売却するタイミングで、別のスタートアップを起業してCEOとしてやってみたいという話になりました。
私も時岡もテクニカルなことはできないので、できるものはなにかと考えた時に目を付けたのがアジア人に特化したデーティングアプリです。
野村:
北米ではデーティングアプリってとても盛んですよね。私の同僚の女性でも、デーティングアプリで彼氏を見つけて付き合っている人がいます。
山崎さん:
そうですね。
その当時アメリカでアジア人と出会えるプラットフォームがありませんでした。ユダヤ人専門のデーティングアプリはあるのに、アジア人のものはない。
野村:
ユダヤ人特化のものがあるんですね。ロサンゼルス・サンフランシスコを初め、西海岸のアジア人の数は相当だと思いますが、今までそういうプラットフォームがなかったのは意外ですね。
山崎さん:
そうですね。20年前にはあったそうなんですが、ちょっと早すぎてうまくいかなかったのかなと。
北米でのアジア人の数は多いですが、中華系・韓国系と分散していて、少しコミュニティ内の結束が弱いのかなと感じます。加えてアジア人はシャイな人種で、対面のプレッシャーがないオンラインデーティングとの親和性が強いのではないかと考えEast Meet Eastを始めました。
初めは代表の時岡1人がフルタイムでやっており、軌道に乗り始めたタイミングでビジネスの内容を熟知している私がマーケティングディレクターとして参画しました。
実は私は今まで色々な領域を転々としています。もともと金融の業界に身をおく前に、ロースクールに通って弁護士の資格を取りました。ただ、初めから弁護士をやるのはつまらないと思い、金融の世界に入りました。金融の業界でもインベストメントバンキング、クレジットリスクマネジメントなど色々なエリアを渡り歩きました。
野村:
ということはマーケティング自体は全く未経験から始められたと?
山崎さん:
そうですね。私はスタートアップでのマーケティングは答えがないものだと思っていて、
経験があれば成功するわけではないと思っています。
逆に既存のやり方にとらわれずに、論理的かつ柔軟に動く方が結果に繋がるではと考えています。例えば、現在、East Meet Eastの集客の軸にある動画マーケティングも、いち個人としてYoutubeを見ていて、この人たちとコラボレーションができればいいなと思ったのがきっかけです。
East Meet Eastに学ぶ動画マーケティング成功3つのレッスン
野村:
East Meet Eastの動画マーケティングについて詳しく伺っていきたいと思います。
北米で動画マーケティングの需要が伸びてきていますが、私がエージェンシーとして様々なクライアントと仕事をしてきて感じるのは、動画制作にかかる労力の部分がネックになっている点です。そのため、最終的には文字ベースでできるブログレベルに落ち着いてしまう。
それを踏まえた上で動画をマーケティングの主軸にする理由はございますか?
山崎さん:
仰る通りで、ブログ記事や画像と比べて労力が全然違います。内容の部分、クリエイティブの部分でけっこう揉めることがあるのと、
動画をマーケティングの主軸にしている理由は、単純に今まで他のマーケティングのチャネルを試してきて動画が一番効果が良かったからですね。動画は他の手法に比べて、視聴者に対する訴求が強くエンゲージメントが高い。結果ダウンロードにも繋がります。
もちろん思い込みではなくて、InstagramやTwitterのインフルエンサーも試しましたが、データを見て費用対効果が良いのは結局動画だったというのが結論です。
Youtuberとのコラボレーションを通して動画コンテンツのノウハウを蓄積
野村:
なるほど。未経験からいきなり動画コンテンツを作るのは大変だったかと思います。
山崎さん:
動画マーケティングといっても、最近まではYoutuberとのコラボレーションをメインに行ってきました。そのため、コンテンツの大枠はYoutuberに任せることができました。
話を進めていく上で彼らがネタを探している場合は、こちらからある程度内容を詰めて話を振る事もありますが、大抵はサービスの概要説明と過去の動画リンクを送ると、どういうコンテンツがいいかを提案してくれます。
これまでおよそ30本以上の動画をYoutuberと作ってきましたが、コラボレーションを通して動画コンテンツのノウハウが貯まりました。
野村:
なるほど。
Leenda、Fung Brosをはじめ北米で有名なYoutuberとコラボレーションをされているのを拝見しました。ちなみに彼らにはどのようにアプローチされたのでしょうか?
引用: ASIANS DATING IN THE CITY?!- FUNG BROS.
引用: When Girls Go on Dating Apps | LeendaTime
山崎さん:
このケースに関しては
その前に、彼らと繋がりがあるYoutuberとコラボレーションしたのがきっかけです。
彼らのような大きいチャネルを持っているところはブランドを大切にしており、得体の知れないところとやりたがらないので、最初は小さいところとやって実績を作って、Youtuberネットワークとの関係を構築しました。
野村:
なるほど。
山崎さん:
今後は自社内のコンテンツ強化を考えています。Influencerを社内によんで、社内のアイデアを形にして、YouTube/Facebookで配信していく予定です。
私たちが動画コンテンツを始めたときは、ノウハウがなかったので内製でやるのは厳しかったのですが、前述の通り今はノウハウが蓄積され、内製に舵取りできる状態にあるのかなと思います。様々なコンテンツに触れてきているし、過去のしがらみがないので、逆にInfluencerよりも良いコンテンツが作れるかもですね(笑)
チャネルごとに存在するコミュニティ、動画の毛色を変える
山崎さん:
今年からYoutube以外にもFacebookにも手をつけ始めました。
FacebookではYoutubeとは別のインフルエンサーが存在していてYoutubeとは性質が全く異なります。
野村:
Facebookの動画を拝見しましたが、Facebookではおもしろ系のビデオが多いですね。
引用: How to Impress An Asian Girl – Posted by East Meet East
山崎さん:
そうですね。当たり前ですがユーザ層もYoutubeとは全く異なります。例えば、Facebookは北米にいるアジア人だけではなく、アジア圏にいるユーザからも見られる事が多いですね。
2-3ヶ月ごとに新しいことにチャレンジする
山崎さん:
最後に、これは動画マーケティングに限った話ではありませんが、スタートアップのマーケティングはやり初めは引きが強かったものでも、少し時間がたつとどんどん効果が薄れていく点です。
そのため、同じことをやっているだけではダメで、2-3ヶ月くらいのサイクルで常に新しいものを見つけ続けていかないといけないのかなと。
別に新しいことをやり続けたいわけではなくて、やらないと死ぬ・・・みたいな(笑)
野村:
(笑)
山崎さん:
今後は前述のコンテンツの内製化と平行して、過激なコンテンツにも手を出していこうと考えています。例えば、今LAのKorean Townに出しているビルボードの広告 “Asian for Asian, Not Recist”っていうRacism(人種差別)のようなものを展開していこうかと考えています。
画像: LAのKorean Townにて掲載されているEast Meet Eastのビルボード広告
最後にひとこと
野村:
最後に、海外進出を考えている個人・企業の方に読者に向けてひとことお願いします!
山崎さん:
そうですね・・・。やってみれば?って感じですかね(笑)
野村:
(笑)。実は割と皆さん同じこと仰るんですよね、たぶんこの質問がよくないのかなと笑
山崎さん:
そうなんですね(笑)。それでは・・・日本での自分の将来を思い浮かべて、それに満足できなければ海外に挑戦した方がいいというのはいかがでしょうか?
野村:
ありがとうございます!
画像: ニューヨークのスタートアップがシェアしているオフィスの前での一枚
まとめ
今回は山崎さんに動画マーケティングについてお話を伺いました。私自身、動画マーケティングの経験がなく、今回のお話はとても参考になりました。
East Meet Eastはニューヨークで活躍する数少ない日本のスタートアップの1つです。これからもますますの活躍を楽しみにしています。