Touch-Baseの記念すべき最初のインタビュウィーは
ニューヨークで大活躍されているマーケター、New Edge PRのUchida Yokoさんです!


野村:
本日は宜しくお願いします!

内田さん:
宜しくお願いします!


Image: Broadwayでの内田さんの写真 (Facebook)

野村:
早速ですが、New Edge PRの事業内容を簡単にお話頂いてもよろしいですか?

内田さん:
はい。
New Edge PRでは主に日系企業の米国進出のマーケティングや米国事業の立ち上げのコンサルティングを3段階でサポートしております。

1つは海外進出をまだ検討中の段階の日系企業様向けにテストローンチやテストマーケティングをするサービス、2つ目は日系企業が米国進出の準備中の段階に伴う事業の立ち上げのサポート(例えば法律事務所・会計事務所や商業用物件のご紹介等)で、 3つ目は進出後のマーケティング戦略やビジネスの見直し等のコンサルティング業務を展開しています。

野村:
けっこう手広くやられてますね。マーケティングを専門にやられていると思っていました。

内田さん:
そうですね、日系企業さんをサポートしていく中で、立ち上げから丸ごとお願いしたいという声も多くあったので現在はそのようなサービスも一部提供させていただいています。

詳しく業務の説明をすると、私たちが不動産屋さんになるのではなく、ニューヨークにある米系の現地のトップの不動産のエージェントの方や、会計事務所、広告代理店やPRエージェンシーなどとタッグを組んで、お客様のニーズやゴールに合わせてプロジェクトを動かしています。

もちろん、戦略の部分はコンサルタントのような役割を担うのですが、プロジェクトの遂行に関しては多くの場合、現地のプロ集団とともに実行します。その際は日本語が話せるプロジェクトマネジャー的な役割を担ったりもします。

野村:
やはり現地のエージェントの方が良いですよね。

内田さん:
現地の日系の企業様は日本語で丁寧にご対応いただく方をやはり好みますが、何にでも競争率の高いアメリカでは現地で何十年もやっている会社さんが持っているコネクションやノウハウはものすごく頼りになりますし、現地で戦うにはとても有利となる場合が多いですね。

例えば直近で一緒に仕事した某不動産のエージェントさんは大家さんとお友達だったため、裏情報を入手したり交渉時は非常に有利でした。

ご相談頂く企業さまに対して、現地で成功するための最良のサービスをご提供するのがミッションなので、やはり現地での有力なパートナーの存在は欠かせないですね・・・。

野村:
そういうコネクションはどうやって作られたんですか?

内田さん:
もともと人と会うのが好きなので、いろいろなイベントやセミナーに行った際にあった人などを通してですね。さきほどの不動屋さんも、たまたま何かの会で出会いました。

野村:
なるほど(笑)、ネットワーキングってやっぱりニューヨークでも大切なんですね。

内田さん:
そうですね、特にニューヨークはそういう機会が多いので積極的に参加していった方がいいですね。

私の場合は、ネットワーキングするためにそういう会に参加するというよりは、自分の知らない事を勉強したいなという気持ちでセミナーやいろんなイベントに参加することが多いです。

そこで話してみて息があえば名刺交換っていう感じですので、いやいや飲みに行って、何がなんでもコネクションを作るというのではなく、その場を通して学ぶこをまずは楽しみ、そして一期一会も楽しむ事を目的で参加します。私、ただ単に人が好きなんです(笑)。

野村:
クライアントさんもそういうネットワーキングを通して獲得することが多いんですか?

内田さん:
そうですね。ありがたいことにお客さんの口コミであったりとか、私が開催するセミナーや会を通して知り合った方からのご紹介であったりで、クライアント企業さまともイベントやセミナーなどを通じてお会いすることが多いです。


Image: HubspotのCEO, Brian Halliganと内田さんの写真 (にっぽんのマーケター)

日系企業がニューヨークでやってしまいがちな5つの間違い

野村:
日系企業がニューヨークでよくやってしまいがちな間違いはありますか?

内田さん:
そうですね、だいたいすぐ上がるのが5つほどあります。

野村:
5つもあるんですか?(笑)

内田さん:
はい(笑)、やはり海外となるといろいろありますので。。詳しくは以下の5つです。

1. ニューヨークの日系の市場から攻めるというアプローチ
2. アナログ式の営業に頼る(デジタルに力を入れない)
3. 日本語が喋れる人ばかりを雇う
4. 日本市場の感覚のままでマーケティングをやってしまう
5. 準備期間を長くとりすぎる

野村:
なるほど。

間違いその1: ニューヨークの日系の市場から攻めるというアプローチ

内田さん:
まず1番よくある「落とし穴」のポイントとして、ニューヨークにある日系の市場をまずは開拓して現地の基盤を作ってから現地(米系)の市場を開拓しようとする考え方とアプローチですね。

まずは慣れている日本人のシェアを獲得してから、ニューヨーカーに・・・という考え方はわかりやすく、イメージもつきやすいのですが、実際米系の現地の人たちは日本人のコミュニティーとがっちり繋がっているかというと、実際以外とそうではないんですよね。

例えば、日本にいる中国人や韓国人のコミュニティーで広まっているものは日本の現地のコミュニティーで必ずしも広まるとは限りませんよね?もっというと、日本にある韓国語や中国語の情報誌で取り上げられている商品やサービスはそれら言語を読まない日本人にとってみれば、残念ながら興味も持つことすらありません。

事実ニューヨークにいる日本人の人口はニューヨークの人口全体の約1%(800万人に対して8万人程度)しかないと言われています。たとえ日系の市場開拓に成功したとしても、規模は小さくニューヨークの日本の市場で成功したというだけで、ニューヨークの米系の市場とは全く異なるのです。

野村:
同じニューヨークにいても、日系のコミュニティからニューヨーカーのコミュニティに話題が波及していかないんですね。

内田さん:
そうですね、滅多にないと思いますね。ニューヨークで戦っていきたいのであれば、ニューヨーカーの市場にコミットする必要があります。

野村:
どのようにニューヨーカーの市場にアプローチすればよいのでしょうか?

内田さん:
まずは、日本で成功したマーケティング戦略や考え方はあくまでも日本の市場で通じたやり方なので、海外市場を攻める際は、日本でやったやり方では通じないかもしれないのではないか?と既存のマーケティング戦略をまず一から疑問視する必要があります。

そして、多人種、他宗教の人たちが集まるニューヨークのような市場では、どのようなお客さんに向けて商品やサービスを発信していきたいか、なぜそのお客さんが良いのか、そしてどのようにすればそのお客さんの心に刺さるマーケティングができるのかを改めて問いただし、考え直す必要があります。

そのためにはニューヨークのオーディエンスを熟知することから始めないといけません。
まず現地の人と情報交換して、彼らがどういう考え方や感覚を持っているのかを知る必要があります。

ひとつの方法としては、まずニューヨークに来てテストマーケティングをしたり、自社と似たようなサービスを使っているお客さんはそのサービスをどう思っているのかなど、直接ヒアリングやアンケートをすることが挙げられます。

野村:
ちなみに、そういうテストマーケティングのサポートもやられているんですか?

内田さん:
はい、現地の人たちの生の声が聞けて現地の人たちの感覚を少しでも理解できるようなテストマーケティングのサービスも提供しています。

野村:
至れりつくせりですね!

内田さん:
ですね(笑)マーケティングって一言でいっても、分野や手法は非常に広いんですよね。

間違いその2: アナログ式の営業に頼る(デジタルに力を入れない)

内田さん:
それから2点目の「アナログ式の営業に頼る」ですがウェブサイトやソーシャルメディアは2の次と考えて、アナログ式の営業に力を入れすぎてしまう点ですね。

野村:
アナログ式の営業というのは、飛び込み営業やテレアポ、メール営業とかのことですか?

内田さん:
はい。それ以外にも展示会に出店することはあっても、まだ英語用のウェブサイト(日本語と併用ではないもの)やソーシャルメディアのアカウントがなかったりすることもよくあるようですが、これはいくら展示会で気に入られたとしても、すごくもったいないことになるんです。

展示会で出会ったバイヤーの人たちの多くは展示会後、ウェブサイトやソーシャルメディア、レビューを見たりして調査をします。その際ウェブサイトがないと会社の信頼度や規模を疑われる事になりかねません。結果、展示会でいいと思っても結局「やっぱりやめた。。」となってしまったりしまいます。

それからアメリカでは展示会にいかなくとも、バイヤーさんたちは常に検索エンジンを使って情報収集しているため、グーグル検索からウェブサイトを探し、ウェブサイトを見て良いなと思った会社に直接コンタクトを取るというのが一般的です。そのためアメリカでの事業はウェブサイトやソーシャルメディアを含むオンラインプレゼンスは第1という感覚を持った方が良いですね。

野村:
そうですね。

間違いその3: 日本語が喋れる人ばかりを雇う

内田さん:
3つ目の「日本語が喋れる人を雇う」ですが、どうしても言語の壁があると、オペレーションがやり辛くなったりするので、企業さんの多くは日本語を喋れる人を雇いたがる傾向にあります。

言語や仕事の慣習が同じ日本人を雇った方がオペレーションがスムーズにいくのですが、そうすると現地でのマーケティングや営業はどうしても日本人コミュニティの中にとどまってしまう傾向もあります。

なので、マーケティングや営業に関しては現地の人をうまく動かし、現地の人の感覚をうまく反映した商品やサービス開発、プロモーションの展開をすることをお勧めしています。

野村:
それこそ現地の人しか雇わない!くらいの気概で行った方がいいですかね?

内田さん:
そうですね、もちろんバランスよく雇った方が良いかと思いますが、どちらかというとニューヨークでのビジネスに関しては現地主義の方がより効率よく成功にたどり着く思っています。郷に入っては郷に従えと言うことわざの考え方ですね。

間違いその4: 日本市場の感覚のままでマーケティングをやってしまう

内田さん:
4つ目は「日本市場の感覚のままで海外マーケティングをやってしまう」です。

ニューヨークの市場は本当に全く別物という見方をしたほうが良いですね。
日本は単一民族なので、物事の考え方や価値観は国レベルで非常に似ているところがありますが、ニューヨークでは多人種多民族そして多宗教のため、物事の捉え方や価値観は人それぞれなります。

特に価値観は全く違います。例えば伝統工芸など職人さんが何十年もかけて作ったものや、時間をかけて丁寧に作ったものは高級で価値があるという感覚が日本にはありますが、アメリカの市場ではその価値を分かってくれる人はほんの一部になります。

野村:
なるほど。今まで気付かなかった目線です。

内田さん:
「日本の市場の感覚でやってしまう」の他の例として「文字を入れすぎる」という点もよく挙がりますね。

日本のWebサイトはスペースがあると、小さいテキストボックスを作って色々情報を詰め込んでしまいがちです。アメリカ人からするとどこを見ればいいのかわからなくなるので嫌がられ、離脱してしまいます。

アメリカでは何にでも分かりやすさを求めます。一部の理由としてはDyslexia(ディスレクシア)といって文字が逆さまに見えたり、文字が浮いて見えたりする病気の人が多く、他にもADD(注意欠陥症)といって集中力が続かず、じっと読み物をするのができない人がたくさんいるためです。

日本のつり革広告のようにみっちりと広告文を入れるよりかは、シンプル、価値を分かり易く、1秒2秒でどういうベネフィットがあるかをパッとイメージさせることが重要です。

**注釈: Dyslexia Research Instituteによれば、アメリカ人の10-15%がDyslexiaという統計があり、およそ3,000万人から5,000万人がDyslexiaだということになります。

野村:
アメリカではDyslexiaはそんなに一般的なんですね・・・。

内田さん:
そうなんです。日本とは大きく違う点ですね。

間違いその5: 準備期間を長くとりすぎる

内田さん:
そして最後は「準備期間を長くとりすぎる」という点です。
アメリカでビジネスをするときはスピードが命です。

大体の日系企業さんは2-3年ほど準備期間を経て進出することが一般的なのですが、例えば2-3年前にリサーチした市場と今の市場は全く別ものです。2-3年かけて準備している間に他に似たようなプレイヤーがどんどんとでてきて競争が激しくなっているケースが多いです。

テストマーケティングをして、進出するしないに関わらず意思決定を早めにして6ヶ月-1年以内に進出するくらいのスピード感で臨む事をお勧めしています。

野村:
なるほど、ただでさえ流行の移り変わりが最近早いのに、ニューヨークだと尚更ですよね。

内田さん:
そうですね。

まとめ

今回は「日系企業がニューヨークでやってしまいがちな5つの間違い」をご紹介しました。

サンフランシスコ出身で日本でマーケティングしている友人いわく、逆に日本にいるアメリカ企業も同じで、
まず日本にいる英語話者をターゲットにして日本人を相手にしたがらないそうです。「まずは現地の日本人の市場から・・・」という考え方は、実は万国共通なのではと思います。

ただ、内田さんの話のとおり、現地の人の感覚をうまく反映した商品やサービス開発、プロモーションの展開をした方が良いことは明白なので、多少先が見え辛くてもやる価値は高いと思います。

次回はニューヨークでPRをしている方のインタビューです。お楽しみに。