Touch-Baseの9人目のインタビュウィーは、IT企業の聖地シリコンバレーでお〜いお茶ブームを巻き起こした角野さんです。

ノンシュガーの緑茶を飲む文化すらなかったアメリカで、Google, Facebook, Twitter, Evernoteといった有名IT企業のカフェに、お〜いお茶を導入することに成功され、今ではロサンゼルスを含め、アメリカの西海岸全域で見かけるほど認知度を広げました。その後、茶ッカソン(※)を立ち上げ、お茶文化の普及に尽力されています。

今回は角野さんへのインタビューを通して野村が学んだ3つのレッスンをご紹介したいと思います。

注釈
茶ッカソンとは: お茶を通じてコミュニケーションを深め、アイデアを出し合ってイノベーションを生み出すための場。

プロフィール
角野賢一(かくのけんいち)
株式会社伊藤園 広告宣伝部。2002年に伊藤園に入社後、ルートセールスを経て海外研修のため2006年にニューヨークに渡航。2009年よりシリコンバレーにてIT企業のカフェテリアを取引先にするなど、新たな流通網を切り開く。2014年帰国。広告宣伝部にて、シリコンバレーで立ち上げた茶ッカソンを日本で展開している。

参考: 角野 賢一 | 社員紹介 | 採用情報 | 伊藤園

角野さんから学ぶ3つのレッスン

普通以上の成果を出さないと逆にマイナス

角野さん:
一見、海外にいくと手放しでカッコいいというイメージがありますが、実際には何も身にならずに終わる事もあります。

サンフランシスコにいた時にメンターにこのようなことを言われた事があります。

日本にいると自分から意識してなくても、上司や周りの指導によってスキルアップすることができます。ただ海外にいると誰も何も言ってくれず、自分が意識して行動していかないと何も身にならず、最終的にちょっと英語がうまくなるだけで帰ることになってしまうこともありえます。だから、海外では普通よりも大きな結果を出すくらいのつもりでやらないと逆にマイナスになってしまうかもしれません。

私もサンフランシスコで営業としてそれなりに結果を出すことができたと思いますが、これで任期を終えて日本に帰ったら普通の営業で終わってしまうと思ったんですね。正直サンフランシスコのエコシステムを理解すれば、他の営業の方でも同じくらいの成果は残せていただろうとさえ思います。

そう考えた時に営業だけで終わるんじゃなくて、シリコンバレーの経験を生かして何か他の人ではできないことをやらないといけないと思いました。

それがきっかけで、茶ッカソンを始めました。

野村:
なるほど。ちなみに茶ッカソンに行き着いた経緯は何だったんでしょうか?

角野さん:
きっかけのひとつは、世の中に良いインパクトを与えようと頑張っている現地のスタートアップに感化されたからです。

サンフランシスコでお茶の営業活動をしている中で、これから卒業して起業準備をしている学生さんにたくさん出会いました。その学生さんたちがピッチプレゼンテーションといって投資家を前にしてアイデアやサービス、プロダクトのプレゼンをして、これで僕らが世界を変えるという言葉で締めくくるんです。その彼らの「世の中に良いインパクトを与えることがクール」という姿勢に感化されました。

また同時に、これからそういう時代になってくるなと感じました。ただ単純にモノが売れればいいとかではなくて、それが世の中にどういうインパクトを与えるかを考えることが重要になってくるなと。

そこで、いちサラリーマンとして何かできる事はないかと考えた時に、その当時テック界隈で流行っていたアイデアソンと伊藤園のお茶を組み合わせた『茶ッカソン』というアイデアにたどり着きました。

茶ッカソンでは、志ある人が集まり、お茶を通してコミュニーケションを深めて、よりよい生き方をするために何が必要で何をすべきかを世界中の人と議論する場所を提供することを目的としています。

お茶の会社がその場を提供しているのがポイントで、最終的にはお茶が世界をくっつけているというストーリーがついてくれば面白いと考えています。

野村:
個人的にはサンフランシスコでの営業成果が既に普通以上の結果のように感じますが、さらにその先まで攻められたのがすごいです。

とりあえず行動、その先にしか見えない物がある

野村:
サンフランシスコの前にニューヨークでも営業をされていて、結果を出されたと伺いました。

角野さん:
ニューヨークでもサンフランシスコでも飛び込み営業から入ったんですが、飛び込み営業って結局100件行って1件当たればいいって考え方なんです。でもなかなか皆100件飛び込まない。

もしアメリカでの営業のアドバイスを聞かれたら、とりあえず100件やったら見えるものがあるから、自分のやるべきことがある程度決まったら行動に移して、走りながら考えるくらいでやるべきと言いたいです。

もちろん簡単ではありませんが、その中で次に繋がる発見や出会いがあります。その体験を通してどう工夫すればいいかが見えてくる。一つ言えることは100件やってないと、そういうのも見えてきません。

野村:
それは凄くわかります。皆なかなか数をこなしませんよね。
とくにニューヨークやサンフランシスコみたいに、現地の人がどういう生活をして、どういうビジネスのやり方をすべきかわからない状態だと、リサーチの一環としても行動量を重ねるのは大切だと思います。

角野さん:
本当その通りですね。

あとは、アメリカって意外と英語がうまくなくても、チャレンジしてくる人にはしっかり対応してくれます。

アメリカだと伊藤園の認知度がなく、そもそもノンシュガーのグリーンティを飲む文化すらない中で伊藤園のお茶を売るので、ノンシュガーのグリーンティの説明から入らないといけません。

英語もそこまで喋れなかったので大変だったのですが、むしろそういう状況でこそ、チャレンジする姿勢を見せてよかったなと思います。

そういうチャレンジしてくる人間をリスペクトするのがアメリカだと思っています。こんな下手くそな英語で一生懸命商品の説明をしてるなって(笑)

少しでも「これチャンスかな?」と思えることに出会ったら、とにかくチャレンジする姿勢を見せてやるべきだと思います。

失敗をおもしろがる

角野さん:
行動していく中で失敗を面白いと思えることも重要です。

私は子どもができた時の話のネタになるとか、長い目で自分のストーリーを作っていると思ってやっており、そう思えば失敗は苦ではありません。

むしろ失敗のストーリーの方が周りの人に共感してもらえると思っています。

私自身も人に出会った時、エリートの人が成功した話を聞いても大抵、「すごい」で終わってしまうことがほとんどで、たくさん失敗しながら、たくさんチャレンジしている頑張っている人の話を聞くと、「サポートしたい」とか「一緒に何かやりたい」と思います。

野村:
そうですね。

角野さん:
ニューヨークで飛び込み営業をしていた時も、全然相手にしてくれないことがほとんどで、たまに売ったはいいけど、お金払ってくれなくてマフィアみたいな人が出てきたりしたこともありました。

野村:
僕がその立場だったらめちゃくちゃ焦ると思います(笑)

角野さん:
もちろんその当時は凄い嫌でした。お金の回収のためだけにブルックリンの果てまで行くのも大変で、会社と板挟みになったりはありました(笑)

それでも前向きに考えて「後で飲み屋で誰かにこの話ができる」くらいの気持ちでやってました。

野村:
なるほど(笑)、見習います。

読者にひとこと

野村:
最後にひとことお願いします!

角野さん:
茶ッカソンを通して隣の人に「これよくない?」って素直に言える場を作っていきたいと思っています。

作為のない純粋な気持ちで「これよくない?」って声をかけて、誰かが共感して、それを一緒にやる。その連続が世の中を良くすることに繋がると信じています。簡単なことですが、これを素直にできる人は意外に少ないです。

それは何かのプライドなのか自信の無さなのか分かりませんが、自由に発言できない状況や雰囲気があると思います。

そこで、「まあお茶でも飲みましょうよ!」という言葉と行為からコミュニケーションをはじめれば、意外といつもより素直になれる、さっきまで知らなかった人ともざっくばらんに話ができることってあるのではないかと思ってます。そんな場で、皆さんが「これよくない?」って素直に話すことができるようになったら、最終的に世の中を良くする事に繋がるのではないかな〜と思っています。

まとめ

今回は、他のインタビュウィーの方から伊藤園のお〜いお茶をシリコンバレーに広げた伝説的な営業マンがいるとの話を聞いて、このたび自分で調べて角野さんにインタビューをお願いしました。

ニューヨーク・サンフランシスコの第一線で営業を成功されて、茶ッカソンという新たな試みを仕掛けている角野さんの言葉はとても胸にささりました。特に普通以上の成果を出さないと逆にマイナス・・・やっぱそうだよなと納得しました(笑)、頑張ります。

注釈 : 角野さんに関する他のインタビュー記事は下記 (こちらの方が角野さんがやられたことを詳しく書いてます):
btrax: お〜いお茶から学ぶメイドインジャパンの海外展開【インタビュー】角野賢一氏 – 伊藤園米国西海岸マネージャー
Compass: シリコンバレーの「お~いお茶」ブーム、茶ッカソンーーコミュニティ形成の仕掛け人が語る、取り組み舞台裏
ASCII: シリコンバレーのエンジニアに受け入れられた伊藤園『お~いお茶』